こんにちは。
すでに感覚的に分かっていたことですが、甘いものの飲みすぎが2型糖尿病のリスクを挙げるという実験データが公開されました。
糖尿病ネットワークにて以下の記事にて詳細が読めます。
https://dm-net.co.jp/calendar/2019/029544.php
まあ、「知ってるよ!」という声も聞こえてきそうですが、具体的なデータを知ることも大事かなと思いますので、共有していきたいと思います。
高カロリー飲料と2型糖尿病のリスク
先に高糖質、高カロリー飲料を飲み続けることのリスクのおさらいですが
- 飲み物に溶かされている糖の吸収が早く、血糖値が上がりやすく高血糖になりやすい
- 高血糖値が続くことで内臓脂肪が蓄えられやすくなり、肥満につながる
- 内臓脂肪が蓄積されるとインスリン抵抗性が上がり、糖尿病のリスクにつながる
これらを押さえておきましょう。
ジュースやコーラなど清涼飲料や菓子類などの甘味の強い加工食品の多くに「果糖ブドウ糖液糖」が甘味料として使われている。コーンスターチ(トウモロコシから作られたデンプン)などから製造される果糖ブドウ糖液糖は、果糖(フルクトース)とブドウ糖(グルコース)を主成分とする異性化糖。工業的に安定して生産でき、価格が安いので、多くの食品に広く用いられている。 ごはんやパン、穀類、いも、カボチャなどの野菜に含まれる炭水化物が複合糖質であるのに対し、フルクトースやグルコースは吸収されやすい単糖類だ。フルクトースは糖の中ではもっとも甘味が強く、多量を摂り続けると体重増加や肥満につながりやすいと懸念されている。
ハーバード公衆大学の研究
まずはハーバード公衆大学での19万2000人を対象にした研究データのご紹介。
研究チームは、3件の長期研究――看護師健康研究(Nurses' Health Study)、看護師健康研究II(Nurses' Health Study II)、医療従事者追跡研究(Health Professionals' Follow-up Study)に参加した19万2,000人の男女の22〜26年分のデータを解析した。 その結果、高カロリーの飲料を1日に約114g(4オンス)、4年間飲み続けると、2型糖尿病の発症リスクが16%上昇することが分かった。ジュースやコーラは350mL(12オンス)で売られることが多く、この3分の1の量で糖尿病リスクは上昇することになる。
20年以上にわたる超大規模長期研究ですね(^_^;)
この結果わかったことは1日に114ℊ(4オンス)の高カロリー飲料を4年間飲み続けると16%2型糖尿病のリスクが上がるというものでした。
114ℊと言われるとよくわかりませんが、私たちが目にしているmlに直すとわかりやすいでしょう。
1ℊは1mlですから、114ℊということは114mlということ。
つまり、350ml缶の1/3くらいしか飲まないよ、という人ですら2型糖尿病のリスクが16%も上がるということです。
基本的に日本では350mlの缶、もしくは500mlペットボトルがほぼ主流ですから、それらを日常的に飲んでいる人はさらに糖尿病のリスクが上がっていると考えるのが自然です。
フルーツジュースでも危険、水やお茶を飲もう
そしてこれはコーラなどの清涼飲料水に限ったことではありません。
糖尿病のリスクは100%フルーツジュースであっても上昇するという。
とあるように、清涼飲料水に含まれる果糖ブドウ糖液糖でなくても、フルーツに含まれる果糖であってもその被害は免れないということです。
結局のところ、人工か天然かを問わず飲み物に含まれる高濃度の糖そのものが血糖値を上昇させ、糖尿病を押し上げているということですね。
そしてこう続きます。
一方、1日に1杯の高カロリー飲料を、水や、無糖のコーヒーやお茶に置き換えると、糖尿病リスクは2~10%減少した。 米国心臓学会(AHA)は、高カロリーの清涼飲料を1日に85g(3オンス)未満に抑え、摂取カロリーが1週間に450kcalを超えないようにすることを勧めている。これは週に350mL入りの缶2本に相当する
対照的に高カロリー飲料を水などの無糖のものに置き換えるだけで糖尿病リスクが2~10%減少しました。
114ℊの高カロリー飲料を飲むか、水に置き換えるかだけで糖尿病リスクが差し引きで約20%前後低下することになります。
米国心臓学会が推奨するように一日85ℊ程度に高カロリー飲料を抑えるのもいいですが、結局のところ飲まないという選択肢がベストなのでしょうね。
内臓脂肪の蓄積にももちろん大関係
次に内臓脂肪の蓄積についてですが、
米国国立心臓・肺・血液研究所の研究チームは、1,003人(平均年齢45歳)の参加者を対象に、6年間追跡して調査した。参加者は内臓脂肪の変化を測定するためにCTスキャンによる検査を受けた。
とあるように1003人を6年間に追跡し、CTスキャンによって内臓脂肪の変化を計測しました。
その結果、高カロリー飲料を飲む頻度の高い人ほど、内臓脂肪が増えることが明らかになった。内臓脂肪の体積の増加は、高カロリー飲料を月に1回または週に1回未満しか飲まない人では649cm³、1週間に1回または1日1回未満の人では707cm³、毎日1杯以上飲む人では852cm³になった。
大事なところは内臓脂肪の体積の増加量
- 高カロリー飲料をほぼ飲まない人は649cm³
- 1週間に1回程度の人は707cm³
- 毎日の人は852cm³
それぞれ内臓脂肪の増加が見られました。
これを比率で言うと、
- 飲まない人と週一の人は約1割
- 飲まない人と毎日の人では約3割
という感じでそれぞれ内臓脂肪の増加具合が変わります。
特に毎日飲む人は3割強も内臓脂肪の増え方が違いますから、単純に肥満という観点からみても高カロリー飲料は控えたほうがよさそうです。
「高カロリー飲料の摂取量の増加と、内臓脂肪の増加との間に、直接的な相関関係があることが明らかになりました。食事ガイドラインにしたがい、高カロリー飲料の飲み過ぎには注意が必要です」と、フラミンガム研究に携わったキャロライン フォックス氏は言う。
糖質によって脂質の代謝も体内時計もおかしくなる
最後に名古屋大学での研究で糖質の摂りすぎが脂肪肝を引き起こし、さらに体内時計にまで影響を及ぼしていることがわかりました。
名古屋大学大学院生命農学研究科の小田裕昭准教授らの研究グループは、ラットの実験で、糖質の取り過ぎにより脂質代謝異常(脂肪肝、高中性脂肪)を発症するメカニズムを詳しく調べた。 その結果、糖質(ショ糖)の取り過ぎにより、肝臓の脂質代謝の概日リズムが乱され、中性脂肪が蓄積されやすくなることを解明した。ショ糖を構成する果糖とブドウ糖は、わずかな構造上の違いがあるだけにもかかわらず、代謝におよぼす影響が大きく異なり、それに体内時計が関係していることも分かった。
図の真ん中にある脂肪合成のところが休息期に異常に高まっていることがわかります。
これは本来する必要のない脂肪合成なのですが、ショ糖や果糖を摂りすぎてしまうために脂質代謝がみだれ、このような形になってしまっているのです。
もちろん脂肪合成が高まるということは肥満になるということですし、肝臓自体も脂肪がたまり、脂肪肝になります。
脂肪肝もインスリン抵抗性を引き上げる要因の一つになりますから、やはり糖質の摂りすぎは糖尿病リスクを引き起こすことになります。
まとめ
今回紹介した記事の中であった研究のうち3つ中2つはアメリカでの研究によるものです。
アメリカでの研究でこのようなリスク増大が確認されているということは、白人種、黒人種よりもインスリン分泌能力が低い私たちモンゴロイドはさらにリスクが高まる結果になるということが想像できます。
私たち日本人は他の人種よりもより糖尿病になりやすいことを念頭にいれて、糖質の摂りすぎに気を付けていきたいものです。
皆さんもくれぐれもご用心を(^_^;)
皆さんが健康でありますように。
本日もご覧いただきありがとうございました。