こんにちは。
先日、グレリンという食欲を増進させる効果のあるホルモンのお話をしました。
【グレリン】睡眠不足は太るは本当? 寝不足になると食欲が増すあるホルモンの存在
グレリンは睡眠時間が少なければ少ないほど分泌量が増え、その分食欲が増大、結果食事量が増え、肥満につながるというものでした。
今日はその反対で私たちの食欲を抑えてくれるレプチンというホルモンについてご紹介していこうと思います。
睡眠以外にもレプチンを増やす、あるいは減ってしまう行動もご紹介します。
レプチンとは
まず、レプチンとは肥満細胞から作り出されるペプチドホルモンの一種で、グレリンもこの中に含まれます。
ペプチドホルモンの仲間には
- インスリン
- グルカゴン
- 成長ホルモン
などのほか、以前に紹介した私たちが起きていることに必要なオレキシンもペプチドホルモンに含まれます。
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レプチンの役割はWikipediaからの引用では
強力な飽食シグナルを伝達し、交感神経活動亢進によるエネルギー消費増大をもたらし、肥満の抑制や体重増加の制御の役割を果たす16kDaのペプチドホルモンであり、食欲と代謝の調節を行う[1]。
引用:Wikipedia
とあります。
強力な飽食シグナル、これは「お腹がいっぱいですよ~」という信号のことで、
交感神経活動亢進とは、交感神経をより興奮させて活動を活発にさせることを意味します。
つなげると
「お腹がいっぱいだからご飯食べるのやめて動いてね~」
という信号を送り出して食事を制限し、活動を活発にさせてくれるということになります。
レプチンはそういう役割から一般的には「痩せホルモン」として有名ですよね。
ですが、レプチンが減る、あるいは増やすためにはどうすればいいでしょうか。
睡眠不足で減るレプチン、ただし寝すぎもNG
これはグレリンの時に紹介した同じデータですが、
2004年に、アメリカのスタンフォード大学の調査で、8時間寝た人に比べて5時間しか寝ていない人は、「グレリン」の量が約15%多く、「レプチン」の量が約15%低いという実験結果が出たのです。
つまり、起きている時間が長ければ長いほど脳、あるいは体はその起きている時間に必要なエネルギーを私たちに確保させようとして食事を摂らせようとグレリンを分泌させ、食事を促すということになります。その分レプチンの分泌量も同時に低下させ、食欲が減退しにくくするようにもしています。
ですので逆を行き、睡眠時間をしっかり摂ることでレプチンの分泌量をしっかりと確保でき、食べすぎを防ぐことが出来るといえます。
では、最適な睡眠時間とはどれくらいなのか?という疑問に行きつきますが、答えとしては「7~8時間」というのが研究者のおおよその答えのようです。
ちなみに

という人には、ウィスコンシン大学が2004年に出した論文を参考にしてください。
それによると、7.7時間(7時間42分)の睡眠時間が一番太りにくい、と分単位で指摘しています。
7時間42分の睡眠時間を守れるのであればやってみるのもいいかもしれません( ̄▽ ̄;)
ちなみに、逆に寝れば寝るだけ痩せやすいのかというとそうでもなく、5時間以下の睡眠同様、寝すぎている場合も太りやすいという傾向にあるので注意が必要です。
これは糖尿病患者の統計の話になりますが、マサチューセッツ大学の発表によると、糖尿病患者がもっとも少なかったのは7時間睡眠の人たち。
ただし、5時間以下の睡眠になると糖尿病発症率は2.6倍になり、
今度は逆に寝すぎている人、8時間以上の睡眠だと3.6倍に跳ね上がっているとのことなので、
寝すぎも寝すぎでよくないので注意しましょう。
お酒を飲みすぎない
次にお酒。
みんな大体飲んでますよね。
これは以前の記事でアルコールは血糖値を上げたりしませんが下げる邪魔をしますという記事を書きましたが、実はそれと同時にレプチンの分泌量も下げてしまうという点も指摘されています。
アメリカのマウントサイナイ医科大学のクリストフ ベットナー氏によると
「アルコール摂取はインスリン抵抗性を引き起こすだけではありません。食欲を亢進する作用もあります」と、ベットナー氏は言う。アルコールには、食欲を抑制するホルモンであるレプチンを減少させる作用もある。レプチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、視床下部にある満腹中枢に作用して、食欲を抑える作用がある。飲酒量が多い人では、レプチンの濃度が低下する傾向がみられるという。
とのことですので、アルコールを飲みすぎている方はインスリン抵抗性が上がって血糖コントロールが悪くなるだけではなく、レプチンの減少によって食べすぎてしまうという二重の悪作用があるわけです。
噛むことで増えるレプチン
では、逆にレプチンを増やすためにはどうすればいいでしょうか。
一番簡単に取り組める方法は「よく噛む」こと。
これが何より手間暇かからず、すぐに取り組めるのでとてもおすすめです。
噛むことによって神経ヒスタミンが増え、それが満腹中枢を刺激するとともに、レプチンの分泌を促してくれます。
要するにお腹いっぱいだという状態を作り出してくれるわけですね。
また、レプチンだけの話で言えば20回以上噛むことによって分泌量が増え、食事を開始してから20~30分後に活発になるというデータもあります。
そのため急激に早食いをするひとよりもゆっくりと時間をかけて食べる人の方が少量の食事で満足感を得られやすく、結果太りにくいということになります。
太っている人はよく噛まずに飲み込むように食事をしますが、これでは満腹中枢が刺激されるまでに時間がかかりますから、満足感を得るための食事量が増えます。
ですので増量したい人は別ですが、太りたくない、あるいは痩せたいという人は必ず良くかんで時間をかけて食べることがとても大事になってくるのです。
プロテインや亜鉛を摂ることで材料を投下
他にもレプチンの材料をしっかりと用意することでレプチン不足に陥られない様にするのも大事です。
レプチンの主な材料は
- たんぱく質
- 亜鉛
この2つ
ですので、プロテインを飲んだり、たんぱく質が豊富な食材を摂ることでレプチンが出やすい状態を作り出せることが出来ます。
また、ビタミンEはレプチンの減少を抑える効果があるので併用して摂るといいでしょう。
残念ながらレプチン自体がサプリメントになった商品というものはまだ存在していません。
レプチンの濃度を増して注射によって肥満患者の減量を目指す治療というものはあるにはありますが(結果は10キロ程度の減量に成功しています)、サプリメントとしての商品化はまだありません。
そのため個別で材料をしっかりと確保し、レプチン不足を防ぐことが肝要となります。
食べる時間によって起こる「レプチン抵抗性」
そして最後に気を付けていただきたいのがレプチンに対する抵抗性です。
インスリン抵抗性というものがあるように、レプチン抵抗性というものもあります。
レプチンは白色脂肪細胞から作り出されます。
つまり太っている人の方がレプチンの分泌量は多いので、太っている人は太るにつれて食事量が減らないとおかしい、ということになります。
なぜそれが起きないかというとそれはレプチンが多く出てもレプチンの利きが悪いために起こります。
それがレプチン抵抗性です。
下の図はNHKの番組で紹介されたマウスを使った実験です。
内容は
「2グループのマウスに異なった時間にエサを与え、その後レプチンを人為的に投与して食事量が変わるか」
という実験です。
片方のマウスには普通に起きている時間にエサを与えました。
そしてもう一方のマウスには本来寝ている時間にエサを与えました。
すると結果は以下の通りとなりました。
はっきりとわかると思いますが、起きている時間にエサを与えた場合はレプチンがしっかりと効いています。
ですが、寝ている時間にエサを与えた場合は投与したレプチンが意味をなさなかったのです。
この後に2人の女性芸人さんを使った実験を行い、
- 寝る前の3時間前までに食事を済ます
- 夕食後は水かお茶のみ
- 食事制限はなにも設けない
これを守った結果、10日間の実践で1人は1.4キロ、もう1人は4キロの減量に成功していました。
テレビの企画ですので、一概に鵜呑みにすることも出来ませんが、マウスの実験結果も並行してみていると、やはり出来るだけ起きている時間帯に食事を済ますことがレプチンの抵抗性を下げる結果になりそうです。
まとめ
基本的にレプチンはグレリンと反比例するという大前提があります。
食欲を促進するホルモン、食欲を制限するホルモン、これらは同時に分泌量が落ちたり増えたりすることはありません。
そのため
グレリンが増えない行動 = レプチンが増える行動
ともとれますが、それ以外にもレプチン抵抗性を下げたり、レプチンの基礎的な分泌量を上げることも大事になってきます。
ただ、全てを同時に行うことは難しいと思います。
ですので一つでも取り組めることが出来ればいいのかなと思いますので、やりやすいものから取り組んでみてください。
よく噛むことが一番簡単かな(^_^;)
皆さんが健康でありますように。
本日もご覧いただきありがとうございました。