こんにちは。
長寿の国沖縄で今、どんどん短命化が進んでいるというのはご存知でしょうか?
40歳以下を中心に余命がどんどん短くなっている沖縄。
何が起きているのでしょうか。
短命化が進む沖縄
昔は沖縄といえば長寿な人が多く、年をとっても元気に農作業に励んだり、足腰がしっかりとしている元気なおばあちゃんおじいちゃんがたくさんいました。
そして、それは今でも変わっておらず、高齢者はとても元気なのです。
ただ、反対に若者を中心に平均余命が短くなってきているのです。
以下は2017年に沖縄県保健医療部が出した各年齢の平均余命です。
【平均余命:沖縄県・男】
75歳: 2位 12.62年
65歳: 6位 19.80年
40歳:38位 41.36年
20歳:36位 60.67年
0歳:36位 80.27年
【平均余命:沖縄県・女】
75歳: 1位 16.51年
60歳: 1位 25.19年
40歳: 4位 48.25年
20歳: 7位 67.80年
0歳: 7位 87.44年
おわかりのとおり、60さい以上の平均余命は以前と変わらず高いままで、女性は60歳、75歳ともに平均余命は全国で1位です。
ですが、40歳以下、特に男性は大きく順位を下げ、38位とほぼ最下位に近い順位です。
この現象は2000年ごろを過ぎたあたりから起きだし、「沖縄クライシス」と呼ばれています。
なぜこんなことが起きたのでしょうか?
イヌイットと同じ現象が沖縄にも?
その原因の一番大きな原因が食生活。
以前にイヌイットの人達が欧米文化の流入によって大きく健康を損なう生活に陥ってしまったことをご紹介しました。
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イヌイットの生活に糖質が入り込んだせいでもたらされた様々な弊害
イヌイットの場合、欧米化する前と後で以下のように三大栄養素の割合が変化しています。
欧米化前の三大栄養素の割合
- たんぱく質47.1%
- 脂質45.5%
- 炭水化物7.4%
↓
欧米化後の三大栄養素の割合
- たんぱく質23%
- 脂質39%
- 炭水化物38%
この変化によって、イヌイットはそれまで無縁であった
- 肥満
- 糖尿病
- 虚血性心疾患
などのリスクに大きくさらされることになりました。
この変化が沖縄にも訪れているのです。
沖縄の昔の食生活
沖縄人の長寿の秘訣に食生活があることはかつてとても有名でした。
・戦前の沖縄の食事は非常に質素で主食も白米を常食にする人はまれ。多くは繊維質が豊富な芋であった
・日本一少ない塩分摂取量。温暖な気候で漬物のような保存食を作る習慣(文化)がない
・「ひずめと鳴き声以外は全て食べる」と言われる豚肉は下茹でをして脂を落としている
・野菜や海藻、魚、豆腐などの大豆食品をよく食べている
・腹八分目の食事
・生涯現役。とにかく体を動かす。
・のんびりした陽気な性格。「なんくるないさー」(何とかなるさ)の精神。
このように運動や性格的な習慣もさることながら
- 糖質はGI値が低い食物繊維の多い芋
- 塩分は少なめ
- 肉は下茹でをして油を落とす(沖縄では肉といえばほぼ豚肉)
- 野菜、海藻、魚、豆腐などの多用
と血糖値が上がりすぎないような健康的で質素な食生活を送ってきました。
ただ、米軍占領下において食生活の変化が訪れます
米軍占領下に起きた変化
米軍占領下に起きた変化、それはもちろんファーストフードやジャンクフード。
だが米軍占領期に、ファーストフードやスパムミートなどのジャンクフードが沖縄の日常食に入り込む。それを40代以下が好んで食べるため、高カロリー、高塩分の食生活となり、沖縄の短命化が進んでいる――。
こうした仮説の信憑性を沖縄県の医療関係者に問うと、「嘘ではありません。ファーストフードの害は大きいですよ」と頷く。
https://www.dailyshincho.jp/article/2017/12260600/?all=1&page=2
戦後アメリカの占領下となった沖縄には、食においてもアメリカの影響を強く受けるようになりました。米軍の軍用食料から供給されたコンビーフなどの肉加工品が大量に沖縄にもたらされ、急速に食の欧米化が進みました。ハンバーガー、ホットドッグ、ピザ、タコスといったアメリカ的な食べ物が日本本土より早い時期から普及しました。1963年には、東京・銀座へのマクドナルド進出より8年も早くファストフードのA&Wが沖縄でオープンしています。
アメリカ的食品は高カロリーで悪質な油を使ったジャンクフードに結びつきます。肥満大国のアメリカを見れば容易に想像がつくと思います。沖縄名物Aランチ。コンビニの人気商品ウチナー弁当。ボリュームたっぷりで油・脂とAGEs(終末糖化産物)まみれです(院長の独り言:2014年8~10月号)。
こういったアメリカ的な食文化が根付いた沖縄では、特に若い世代に大きな変化をもたらし、昔ながらの沖縄料理を食べる機会が減っていきました。戦後に生まれた世代で現在60歳以下の人たちは、子供の頃からこのような食糧環境で育っています
といったように食の欧米化が急激に進み、これまでの歴史で存在しなかったジャンクフードの存在が沖縄県民の健康寿命を大幅に下げているのです。
上の写真は「うちなー弁当」という沖縄のスーパーで買えるお弁当なのですが、見事にジャンクですよね(笑)
お酒も要因の一つに
また、お酒も大きな要因の一つ。
「バランスの良い食生活を心がけるよう、県としても様々な啓発活動を行っています。しかしながら死亡原因を見ると、日本人の三大死因と呼ばれる、がん、心疾患、脳血管疾患は沖縄県でも死因の高位を占めていますが、加えて肝疾患の死因が男女共に全国ワースト1位なのです。つまり県民がお酒を飲みすぎているという問題も浮かび上がってくるんです」(沖縄県保健医療部)
沖縄を含めた九州の人達というとお酒をよく飲んでいるイメージが強いのですが、もちろん沖縄も例外ではありません。
泡盛やハブ酒などはすごく有名ですよね。
もちろんお酒を飲むのも大好きなのですが、それが災いし、肝疾患の死因が男女ともに全国ワースト1位。
それに沖縄には独特な習慣があり、それもお酒の飲みすぎに拍車をかけているようなのです。
例えば沖縄では、地縁・血縁に根ざした“模合(もあい)”というグループがあり、かつては地域の金融システムとして機能していました。ところが今は、呑み会のグループに変容していることも少なくないんです。具体的には、毎月に1度、酒宴が開かれます。社交的な人は模合を掛け持ちしているので、更に飲酒機会は増えます。
更に車社会ですから終電を気にせず呑みますし、これが運動不足の原因にもなっています。
今は飲酒運転は厳罰ですが、もしかしたら割とゆるゆるな沖縄では今でも平気で見逃されているのかもしれません。
そのため、深酒、夜更かし、食べすぎ、運動不足などの原因が相まって肝機能障害を助長しているのだと思います。
沖縄クライシスは日本クライシスになりえる
最後に沖縄に起きている変化は日本全体にも起きうることだと警鐘もならされています。
それは何故かというと、日本にマクドナルドが出来たその8年も前にすでに沖縄にA&W(アート&ワイン)というアメリカのファストフードチェーンがオープンしているのです。
そのため、本土の人間よりもファーストフードの流入が早く、食の欧米化も早く起きているということで、今では同じくらいの食習慣になっていますが、その影響は沖縄人の方が早く、本土の人間もいずれ同じようになっていくといわれています。
まあ、今ではどの地域にも物流が行き届いているので、健康に関しては自分で選び管理する時代です。
ただ、コンビニ弁当や清涼飲料水ばかりをとっている一人暮らしの男性は気をつけた方がいいですね。
自炊をしなければ必然的に味の濃いものを摂る機会が多くなりますので、ジャンクフードでなくても食には十分に注意しましょう。