こんにちは。
糖質制限をされている方ならほとんどの方はご存知の
江部康二医師。
2002年から糖質制限をはじめ、
今に至るまでずっと糖質制限食を続けておられます。
体も健康そのものらしく、ブログをはじめ各講演などに参加するなど
医師として様々な活躍をされておられます。
その江部医師ですが、どのようにして糖質制限に出会ったのでしょう。
今日はインタビューをもとにそれを紐解いていきたいと思います。
糖質制限食を糖尿病の治療食として導入したのはお兄さん
ご存知の方はあまりいらっしゃらないかもしれませんが、
実は糖質制限食の第一人者と呼ばれている江部医師は第一人者ではなかったのです。
本当の糖質制限食の第一人者は江部医師のお兄さん。
江部洋一郎さん
という方が糖質制限食を高尾病院で開始したのが始まりと
江部医師は語っています。
――江部先生が糖質制限食を始めたきっかけは。
私の2歳上の兄、江部洋一郎の影響です。兄は1999年から糖質制限食による糖尿病治療を始めていました。冒険家・植村直己氏がイヌイットについて記した本や、米国の『シュガーバスター』という糖質を減らす食事を紹介した本を読んだことで、糖質制限に興味を持ったようです。
こちらの江部洋一郎さんは
現在江部医師が院長を務めておられる高尾病院の先代の院長を務めておられており、
後に高尾病院を去り、ご自身開いていた江部医院を経営なさっていたようです。
2008年には高尾病院の名誉院長にもなられています。
2017年に亡くなられており、現在はご存命ではありません。
漢方など、東洋医学に造詣が深い方だったようで、
著書には
『経方医学』シリーズと呼ばれるものがあります。
江部医師は当初糖質制限を疑っていた
さて、現在も糖質制限食を継続しておられる江部医師。
2002年からですから17年もの間ずーーーっと糖質制限食をされておられます。
さぞかし最初から糖質制限に興味津々だったのかと思いきや
全然そうではなかったようです。
当時、私は兄の治療を全く信用していませんでした。まさに今、糖質制限の効果を疑いの目で見ている多くの先生方と同じような状態だったと思います。
思っていたのと違っていたかと思います。
疑ってたとか、怪訝な目で見ていたとかじゃなくて
全く信用していなかったですからね(笑)
確かに目新しい治療法というものは最初は疑われたり、
ハナから相手にされなかったりするものです。
ですが、ここで転機が訪れたようです。
担当の患者、そして自分自身の体で実感
江部医師が兄、洋一郎さんの糖質制限に傾倒する転機は2つありました。
ご自身が担当していた患者さんの変化、
そして江部医師自身が糖尿病にかかったことにありました。
兄が糖質制限治療を始めてから2年後の2001年に転機が訪れました。私は空腹時血糖560mg/dL、HbA1c 14.5%の糖尿病患者を受け持ち、玄米を中心とした1日1600kcalの食事療法を行っていました。でも、1週間経っても血糖が400mg/dLを切らない状態が続きました。
ある日、その患者が訴えました。「隣の患者の食事の方がおいしそうや」と。兄が診ている同室の糖尿病患者の糖質制限食のことでした。
私は血糖コントロールがうまくいかないので、半ばヤケクソで兄の糖質制限食に切り替えたのです。そうしたら、すぐに血糖が200mg/dLを超えることがなくなり、尿糖も66 g/dLから8 g/dLに改善しました。
これには本当にビックリしました。それから糖質制限食を勉強し始めたのです。
洋一郎さんが糖質制限食を導入するまでは、
高尾病院では玄米食を中心とした
「玄米魚菜食」
を1984年から導入し、糖尿病の治療食として患者さんに指導されていました。
あの江部医師が糖尿病の患者さんに
「玄米を食べなさい!」
なんて言っている姿は今では想像もつきませんが、
当時は糖質制限も知られていなかったので、健康というイメージがついている
玄米食を推奨しておられたのだと思います。
ですが、上のインタビューでもあるようにある患者さんの血糖コントロールがうまくいかない。
そりゃそうです、だって糖質摂ってますからね(笑)
そこで隣の洋一郎さんの患者さんの糖質制限食をおいしそうと患者さんが言われたので
試しにやってみたところあっという間に糖尿病が改善、
江部医師自身も糖質制限に興味を持つようになりました。
ですが、実はここまでに2年の歳月が流れています。
江部医師だけでなく、管理栄養士さんもあまり信用していなかったようです(^_^;)
そしてもう一つの転機が訪れます。
江部医師自身が糖尿病にかかります。
さらに翌年の2002年に「追い風」が吹きました。皮肉なことに、自分自身が糖尿病を発症したのです。父も母も糖尿病を患う「糖尿家系」なので、いつか来るとは思っていましたが、油断していました。自分のことでもあるので、本気で必死になって勉強しましたね。
発症する前に今の知識があれば、糖尿病を発症することはなかったと思います。
医者の不養生ではありませんが、
糖尿病を指導していた江部医師自身が糖尿病にかかってしまうという皮肉。
糖尿病には体質的になりやすいなりにくいというものがあり、
それは遺伝すると言われています。
それが江部医師が語る「糖尿家系」と呼ばれるもので、
親類縁者に糖尿病の方がいた場合、
その方自身も糖尿病になる確率が上がるというものです。
そしてご自身も糖質制限を導入するようになり、
自身の体をもってその効果を体験することになります。
そしてその効果をこうも語っています。
――糖質制限食の効果を目の当たりにして、疑念が吹き飛んだのですね。
それはもう。「新規糖尿病薬の導入で300 mg/dLあった血糖が280 mg/dLに低下、著効した!」なんてよく発表されていますが、そんなの笑っちゃうくらい、糖質制限食による血糖降下にはインパクトがあります。
現在、一般的とされている糖尿病治療は、HbA1c 6.9%未満を目指してカロリー制限と服薬の組み合わせる方法です。これが本当に効く治療ならば、毎年の新規透析導入者のうち、どうして糖尿病性腎症の患者が1万6000人以上にも上るのでしょうか。彼らは治療を怠けた悪い患者なのか――。違うでしょう。大部分の患者は真面目に指導された通りに実践して、それでも合併症が起きてしまっているのです。
かつての糖尿病治療では、空腹時血糖に注目していました。近年、UKPDSやACCORDといった大規模臨床試験で、食後高血糖や平均血糖変動幅にも気を付けるべきだと分かってきた。血糖が変動すること自体が血管や臓器に悪影響を及ぼすのだ、と。
でもね、糖質を食べればそりゃ血糖は上がりますよ。逆に、糖質を食べなければ血糖は上がりません。たんぱく質や脂質をいくら食べても血糖にはなりません。この事実、ご存知でなかった先生方もいらっしゃると思います。
一般に「バランスの良い食事」は、糖質:脂質:たんぱく質=50-70:20-25:10とされています(『日本人の食事摂取基準(2010年版)』30歳から69歳の値)。糖質制限食では、この比を27:45:28とします。私が実践しているのは、12:56:32とさらに糖質を減らした「スーパー糖質制限食」です。
江部洋一郎
少し長いのではしょろうかと思いましたが、
あまり切り貼りすると恣意的なものになってしまうのでやめました。
この上のインタビューの中では
- 薬などより糖質制限食の効果の方が絶大
- 現在の一般的な糖尿病の治療食を行っているのに合併症が起こる人がいる
- 糖質を食べれば血糖値は上がる、つまり治療にならない
この3点に注目です。
糖尿病は
1に食事
2に薬
3に運動
と言われているくらいに食事が大事ですが、
現在はその食事の指導方法が間違っているため、真面目に指導に従ったのに糖尿病が悪化する患者さんがいらっしゃいます。
私も以前に書きましたが、
糖尿病での治療にはエネルギーではなく、糖質のコントロールが必要です。
エネルギーに焦点を合わせた現在の糖尿病の食事指導は間違っていると言わざるを得ません。
高尾病院では3つのメニューから糖質制限を指導しているようです。
以来17年間健康体を維持している
さて、その江部医師自身、糖質制限に猛烈に取り組み現在では糖質制限の第一人者と呼ばれています。
その中でやはり無知な方や糖質制限が広まると都合の悪い方たちから
いわれもない批判を受けていたと思います。
一番言われるのは健康被害。
曰く
「糖質制限をすると頭が働かなくなる」
「脳は100%糖質しかエネルギーにできない」
「筋肉が衰えたり、骨粗しょう症になる」
「肝硬変や動脈硬化の原因になる」
などなど
言い出したらキリがありません。
江部医師自身ブログにてそのような批判に反論していますが、
私からみれば一番の反論は
江部医師が17年間スーパー糖質制限をしているにもかかわらず
現在に至るまで全くの健康体である事実
これこそが一番の反論であり、その反論を証明するための論証と言えるでしょう。
江部医師はもちろんこれからも糖質制限を続けていかれると思います。
まとめ
いかがだったでしょうか?
江部医師が糖質制限を当初否定していた、なんてちょっと面白いですよね。
ですが、その後きちんと事実を認め糖質制限を勉強、研究し自身に取り入れたということは
すごいことだと思います。
人間中々自分の意見って変えにくいものですからね(^_^;)
少し糖質制限とは違いますが、
第一人者である江部医師のお話でした。
本日もご覧いただきありがとうございました。