こんにちは。
糖尿病になると色々と不安が付きまとうようになります。
食事の面、合併症の面、お金の面など将来の先行きが不安になることもあるかと思います。
基本的には糖尿病になると治ることはありませんから、一生付き合っていくことになります。
医師の指導や管理栄養士の指導で満足のいく結果が得られればいいのですが、そうでない場合も少なくありません。
そんな時に「これで糖尿病が治りました!」という宣伝が目に飛び込んできたらどうでしょう?
民間療法の色々な謳い文句
不安に駆られた方なら一応試してみるか…といった気持ちで買ってしまうこともあるかもしれません。
どこどこの地方では昔から糖尿病の治療に○○が使われてました!
とか
古くから糖尿病には○○がいいとされてきました
などの宣伝ってとても響きがよく、「古くから」とか「昔から」というとどこかしら伝統性もあり、正当性も高いようにも感じます。
では、実際にそういった民間療法を試したり、売り込まれた商品を買った方は本当に糖尿病の改善に役に立ったのでしょうか?
民間療法や健康食品は役に立つの?
結論から言えばそれは無理な話です。
何故かというと、まず糖尿病治療というものはれっきとした医療行為の一環です。
日本だけではなく、世界でも4億を超える人々が糖尿病になっています。
そのため各国の研究機関や大学などで日夜研究がすすめられ、信用性の高いもの低いものを問わず論文も出続けていて、それらもまた専門家によって精査されています。
その中でもし、民間療法が本当に効果があり、劇的な改善が見込めるようであれば、すでに論文化され、治療法の一環として認められていないとおかしくないですか?
例えば
「かぼちゃが糖尿病にいい」
なんていう民間療法があります。
ですが、かぼちゃが糖尿病に効果があった、という論文はなく、またその効能の原因となる物質や具体的な効果もわかっていません。
常識的な観点から見ればかぼちゃは糖質が高く、100ℊ当たり17.2ℊもあります。
ビタミンが豊富な点や食物繊維、鉄分、βカロテンなども含まれていますが、それらが糖尿病の改善に大幅に役立ったという話はトンと効きません。
せいぜい食物繊維が血糖値の上昇を緩やかにしてくれる、といった程度です。
ただ、その情報を鵜呑みにしてかぼちゃをたくさん食べたり、そういった宣伝文句につられてかぼちゃを買って糖尿病が治ると信じて食べた人はどうなるでしょうか?
もちろん治りません。
逆に糖質が高いものを食べた結果、血糖コントロールが悪化し、糖尿病が悪くなってしまうことさえあるのです。
今はかぼちゃを例に出しましたが、他にもたくさんのサプリメントや食品などが根拠もあいまいなまま、その効果だけがまことしやかにささやかれ、多くの人が治るかどうかもはっきりしない商品を買っているのです。
民間療法は驚くほど儲かる?
3つの図をこれから紹介します。
これは2002年に全日本民医連糖尿病シンポジウム分科会「へんしん5」で全国糖尿病追跡調査が717人を対象に行った「民間療法アンケート」の集計結果になります。
まず、一つ目。
民間療法を試したことはありますか?という質問に対しての回答です。
見てお分かりの通り、アンケート時点で2割の人が民間療法を行っており、3割近くの方が過去に行っていたとあります。
つまり、約半分の人が民間療法をしていた、あるいは現在進行形でやっているとなります。
次に民間療法にかかった費用は?という質問の答え。
これがかなり驚きます。
え?ってなりませんか?
8割の人が10万円を超える費用を払っており、
1割の人はなんと500万円以上も民間療法にお金を払っているのです。
そして最後の質問、民間療法の効果は感じられたのか?という質問です。
5.8%の方は非常に効果があった、といっており、少し効果があったという人は22.9%です。
おお、じゃあやっぱ効果があるものもあるんじゃん。
って思う方もいるかもしれませんが、
これらの方って自身で選んだ民間療法と一緒に、病院での糖尿病治療も並行して行っているんですよね。
これは92.5%の人が並行して治療を行っていました。
これでは民間療法がよかったのか、糖尿病治療がよかったのかわかりません(^_^;)
というか、もし民間療法に効果があったのならば、もっと効果は感じられるべきではないかというのが正直な感想です。
500万円以上もはらって、効果がわかるかわからないかもはっきりと答えられない民間療法を皆さんはやりたいと思いますか?
糖尿病に魔法はない。結局は食事と運動
楽をしたい、効率的に効果を上げたい、というのはどんなことでも感じることです。
ただ、糖尿病治療に魔法はありません。
糖尿病治療の原因を理解すればおのずとわかるはずですが、
長い時間をかけてインスリンの分泌が低下している、
あるいはインスリン抵抗性が上がってしまている、
ということを考えれば、そんな簡単に治るはずがないのです。
それに繰り返しますが、もし魔法があればすでにこの世から糖尿病は消えてなくなっており、過去の病気としてかかったとしてもあっという間に治る世の中になっていないとおかしいのです。
でなければ4億人以上も糖尿病に苦しむ人はいないはずなのですから。
糖尿病の改善はまず食事、そして出来ることなら適度な運動を絡め、血糖コントロールをよくするしかないのです。
まとめ
民間療法というと証拠も何もなく、その会社が出しているどこぞの医師のインタビューやら信憑性のかけらもないモニターのインタビューくらいしかありません。
ですが彼らはとても宣伝がうまく、いかにもその商品が本当に効果があるかのように見せかけてきます。
ですが、テレビの宣伝などを見ればわかりますが、画面の隅っこの方に
「個人差があります、効果を保証するものではありません」
という文言が載っています。
結局はそれが逃げ道になるのですが、本当に効果があればそのようなことは書かず、宣伝をすることもなく、学会に論文を出し、実験によって小さくてもいいから結果を出せばいいのです。
それが出来ない、ということは…もうお分かりですよね。
怪しげな民間療法にお金をかけるくらいならそのお金で糖質制限をしたり、どこかに遊びにいってストレスを発散した方がよほど体のためになります。
怪しげな民間療法皆さんは騙されないように。
皆さんが健康でありますように。
本日もご覧いただきありがとうございました。