妊娠糖尿病について知っておいてほしいこと

こんにちは。

 以前に本人に食生活や日常生活に何もおかしなところはないのに糖尿病になってしまうケースを取り上げました。

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 今回はまた別のケースで同じく患者本人に責めるべき過失は見当たらないのに糖尿病になってしまうケースをお話したいと思います。

 今回のケースは女性しかかからない糖尿病です。

妊娠糖尿病

 はい、もう見出しにある通りその名前は

妊娠糖尿病

といいます。

その名の通り妊娠でしか起きません。

 男性には起こりようがありませんよね。

妊娠糖尿病の原因としては胎盤からでるホルモンと酵素が原因のようです。

以下は国立成育医療センターからの引用です。

妊娠すると、胎盤からでるホルモンの働きでインスリンの働きが抑えられ、また胎盤でインスリンを壊す働きの酵素ができるため、妊娠していないときと比べてインスリンが効きにくい状態になり、血糖が上がりやすくなります。

 また、妊娠糖尿病は妊娠された方全員になる可能性がありますが、なりやすい方の条件というものもあるようです。

それは

  • 遺伝
  • 本人の肥満
  • 年齢(35歳以上)
  • 以前に原因不明の流産や死産の履歴がないか
  • 羊水過多症

などがあげられます。

これら全てに当てはまらなくても妊娠糖尿病になるときはありますし、

逆にあてはまっていなくてもならないときはあります。

目に見えるものではないので、妊娠をしたら必ず妊娠糖尿病になっていないかチェックしてください。

妊娠糖尿病にかかる人の割全体の約1割と言われています。

10人に1人の確率でなる計算ですから他人事ではありません。

もちろん糖尿病ですから放っておくと大変なことになります。

妊娠糖尿病の弊害

 では、妊娠糖尿病になってしまうとどうなるのか?

もちろん治療を行わなければなりませんが、それよりも面倒なことが起きます。

それは出産におけるリスク

以下は妊娠糖尿病の体験談を載せられているsoarライターの玉居子泰子さんの記事からの引用です。

「妊娠糖尿病」と告げられて、何のことやら頭の中がハテナだらけの私は、すぐに別室に移動し、20分くらいかけて担当医から説明を受けました。

妊娠糖尿病であることが確定した以上、助産院での出産は認められないこと。
血糖値のコントロール指導も含めた治療のため、入院しなければならないこと。
胎児への影響も著しく、胎児の奇形や流産、死産につながる可能性があること。

「胎児への影響は、妊娠・出産を続けていく中でしかわからないことなので、これから頑張ってコントロールしていきましょう」

医師は、冷静に、そう告げました。

1歳になったばかりの長男を置いての即入院も不安でしたが、やはり気になるのは、最後に言われた、胎児への影響のことです。呆然としながら、家に帰る途中、スマホでおそるおそる検索をすれば、妊娠糖尿病のリスクが雪崩のように出てきました。

「先天奇形」「流産」「早産」「巨大児」「肩甲難産」「出生児低血糖」「高ビリルビン血症」

 妊婦さんにとっては事前に知っておかないと結構ショックが大きいのではないでしょうか。

  • 助産院での出産は不可
  • 入院の必要性
  • 胎児への影響

とくに最後の

「先天奇形」「流産」「早産」「巨大児」「肩甲難産」「出生児低血糖」「高ビリルビン血症」

この辺りは特に気になるだろうと思います。

日本糖尿病学会の科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013を見てみても

分娩時期と様式は母児の状態によって決定する.糖代謝異常妊婦では巨大児を含む過体重児(heavy for dates:HFD),妊娠高血圧症候群の併発,増殖網膜症の大出血切迫などのために帝王切開が選択されることがあり健常妊婦に比べ高率である 44).

とあります。

治療をせずに放置しておくと母体だけではなく赤ちゃんにまでその影響は及んでしまうのです。

妊娠糖尿病の対策

 そして妊娠糖尿病の対策ですが、通常の糖尿病対策とかわりはありません。

  • 食事療法
  • 運動療法
  • インスリン治療

この3つです。

 全て有効な手段ではありますが、やはり一番気を付けなければならないのは食事。

 ここでしっかりと糖質制限をしていれば高血糖状態を回避できますし、高血糖状態から来る胎児への影響も心配はいりません。

 「お母さんがケトーシス状態になるのはいいけど、お腹の赤ちゃんはエネルギー不足にならないの?」

 と思う方がいるかもしれませんが、その心配は無用です。

何故なら実は

胎児のエネルギー源はケトン体

なのです。

産婦人科医の宗田哲男医師の研究によれば、胎児のエネルギー源はブドウ糖ではなくケトン体です。胎盤には高濃度のケトン体が含まれていますが、ブドウ糖は胎盤にも臍帯血にも多くは含まれません。このケトン体は母体からの脂肪酸を原料として胎盤で作られています。胎児に必要な栄養素とするために母体には中性脂肪とコレステロールが増加しています。卵生動物の卵は蛋白質と脂肪でできていて、炭水化物(糖質)は殆ど含まれません。哺乳類の胎児も同じようにブドウ糖は殆ど必要としないのです。妊娠母体の血糖値が上昇しているのは、胎児がブドウ糖をより必要とするからではないのです。

 妊娠糖尿病というのは胎児がケトン体を必要としているために母体が本能的にブドウ糖を拒否しているものだというのです。

 そう思うと確かに納得できてしまいます。

 お母さんが赤ちゃんに送るべきエネルギーは糖質ではなく、ケトン体であるべきだったのです。

終わったかといって気をぬけない

 さて、

「無事に妊娠糖尿病を糖質制限で終わったー、

よかったねー、さあこれからまた糖質制限をやめて普通の食生活に戻るかー」

と思っていてはいけません。

妊娠糖尿病は出産が終わってからがむしろ本番です。

それはどういうことか。

 妊娠糖尿病になるとその後、通常の糖尿病になってしまうリスクが跳ね上がってしまうのです。

妊娠糖尿病になった人は、通常は治るどころか
将来糖尿病になる確率は正常妊婦に比べて7.43倍であり、
産後1年以内では糖尿病になる頻度も2.6~38%、あります。

このように妊娠糖尿病になった人とならなかった人とでは7倍以上の糖尿病のなりやすさに差があり

出産が無事終わったからといってまた糖質食に戻してしまうと、

妊娠以前よりも糖尿病になってしまう可能性が高くなってしまっていることに気づかずに

以前と同じ食事をしていても糖尿病になってしまうことがあるのです。

本人に罪はない

 最後に妊娠糖尿病という病気について偏見を持たないでほしい、きちんとした知識をもっておいてほしいという思いがあります。

これは先ほどの玉居子泰子さんの記事からですが、

私は、実は妊娠糖尿病になったということを、周りの人に告げるたびに、毎回なんだか恥ずかしい気がしていました。「糖尿病」という名前が、必ずしもそうではないにもかかわらず、「生活習慣が原因」というイメージが付きまとっているせいもあったと思います。

とあります。

 ご本人自身も「糖尿病」というレッテルそのものが不摂生をしていた象徴のようなものと思われていたようで、そのイメージは世間一般でも当たり前の感覚なのではないかと思います。

 妊娠糖尿病もステロイド糖尿病も、なった本人には何の責任もありません。

不摂生が原因でも、運動不足が原因でもありません。

たまたま薬の副作用や妊娠をきっかけとしたホルモンの影響でそうなってしまっただけなのです。

 もし、あなたの周りにそういう方がいらしても偏見の目で見たり、変な言葉はかけないようにしてほしいと思います。

まとめ

 妊娠糖尿病についてとりあげました。

どういうものなのかというのは各研究機関や医療機関で出てきますが、

そうなった方の体験談や、出産後のリスクまで細かく知っている方は少ないと思います。

 私のツイッターに反論をされている方がいましたが、

  • タバコもすわず
  • 運動もして
  • 食事もきちんとしている

こんな方でも本当に糖尿病にかかります。

 それはご本人の責任ではなく、体質や一時的なホルモンの変化による体の中の影響によるものなのです。

タバコ、運動、食事。

これらは全て外部的な要因によるもの。

ホルモン分泌などの内的要因とはまた別に思ってほしいと思います。

いつまでたっても「糖尿病」という単語に反射的に反応してしまう人たちがいるのは悲しく思います。

皆さんの理解が少しでも深まれば幸いです。

本日もご覧いただきありがとうございました。

  • この記事を書いた人

bisha

ダイエットにちょっと詳しい人。 過去にレコーディングダイエットで10キロ、糖質制限ダイエットで10キロやせた経験あり。 主にダイエットに役に立つ情報をお届けしていきます。

-糖尿病, 糖質制限