こんにちは。
糖尿病と感染症、今日は肺、そして上気道炎についてのお話です。
上気道ってなに?
となるかもしれませんが、鼻やのどのことを指します。
肺はもちろんあの肺。
簡単に言えば呼吸にかかわる器官のお話ということです。
これがうまく働かないと単純に苦しいのでこれも気をつけなければならない症状です。
すこし見ていってください。
糖尿病と上気道炎
糖尿病にかかると、これまで紹介してきたような歯周病や、皮膚の感染症、尿路感染症などにかかる可能性が上がってきます。
それは血管のつまりや神経の圧迫などが原因なのですが、そこから来る体の抵抗力の低下も大きく関与しています。
これは易感染状態といって、糖尿病だけに限らず、肝硬変や腎不全・低栄養、悪性腫瘍(がん)などによってもなってしまいます。
端的に言えば病気にかかりやすい状態、ということですね。
さて、上気道炎に話を絞ると、単純に最初風邪を引きやすくなります。
そして抵抗力が落ちているため、これが長引きやすく重症化する可能性も出てきます。
風邪の重症化の症状というと、気管支炎、そして肺炎などがあります。
お年寄りの方などが肺炎にまでかかると最悪命に関わる状態になりますから、たかが風邪と侮ると後々大変なことになります。
抵抗力が落ちているというだけで風邪ひとつとってもそんな感じですから、他の感染症も気が抜けないのも頷けるかなと思います。
そして糖尿病になることでかかる肺のリスクがもう一つあります。
それが結核です。
結核は昔の病気ではなくなってきている?

と思う人もいるかもしれません。
確かに結核といえば日本では戦後のイメージが強く、今ではほとんど聞くことのない病気だと思います。
1950年には日本人の死亡原因の第一位にまでなっていた結核ですが、治療方法が確立されてからは患者数が激減し、今では昔の病気という認識の人が多いと思います。
ですが、結核は糖尿病患者には昔の病気ではなく、今この時代でもかかってしまう可能性が十分にあるのです。
実は、結核の患者というものは今でも年間2万人以上発生し、さらに年間で2,000人以上の人が命を落としています。
レアな病気にはなったけど、まだ完全に駆逐されているわけではないということですね。
原因は診断の遅れからくる集団感染、若い世代が免疫を持っていないことによる罹患、高齢者が休眠状態にあった結核菌が抵抗力の低下により活性化する、などが上げられています。
そしてここに糖尿病による抵抗力の低下も関係してくるのです。
結核リスクが糖尿病にかかると3倍に
2014年の糖尿病ネットワークの記事では以下のようにランセットなどからの警告も掲載されています。
糖尿病の人にとって、結核の脅威は今後ますます拡大するという報告が、医学誌「ランセット」に発表された。「糖尿病の人は、結核を発症しやすく、発症すると重症化しやすい」と警笛を鳴らしている。
「糖尿病の有病数は、全世界で2035年までに5億9,200万に増えると予測されています。糖尿病と結核を合併する患者の数も増えていくと予想されます」と、世界保健機関(WHO)の結核グローバルプログラムのノット ロンロート氏は言う。
「糖尿病の人は、結核を発症する危険性が3倍に上昇し、結核を発症する可能性は4倍高く、死亡率も2倍に上昇します。糖尿病の人が結核に対するケアを受けられるよう、医療体制を整備する必要があります」としている。
世界の結核の感染数の多い上位22ヵ国では、糖尿病も過去3年間で52%増加している。そのため、結核を発症した患者のうち糖尿病を合併している割合は、10%(2010年)から15%(2013年)に増加したとみられている。
つまり、糖尿病になるだけで結核の発症率が3倍になり、死亡率も2倍になります。
ちょっと危険性が3倍、可能性が4倍の意味が分かりませんが(^_^;)
ただ、どちらにせよ3倍はまず間違いないと考えていいでしょう。
そして結核患者のうち糖尿病を併発している人の割合も2010年から13年にかけて1.5倍になっています。
生活が豊かになり、糖尿病患者が増えれば増えるほど、医療側で結核の予防策を打っていたとしても、患者本人の抵抗力が落ちることで結核を発症してしまうことになります。
結核の症状
結核はひどくなると喀血(かっけつ)といって咳をするだけで血が混じるようなドラマや映画で見たことがあるようなことが起きますが、これは重症化してからの話です。
初期症状は風邪と似ていて、せきやたん、微熱などの症状が出ますが、これが長く続くのが特徴です。
さらに、体重が減る、食欲がない、寝汗をかく、などの症状もあります。
そしてさらにひどくなると、だるさや息切れ、血の混じったたんなどが出始め、最後は図のような喀血(かっけつ)や呼吸困難で死に至ることもあります。
風邪か結核かの判断基準は2週間以上せきやたん、微熱が続くようなことがあった場合です。
単純にストレスや疲れの可能性も捨てきれませんが、万が一ということもあるので、そういったことがあれば早めに病院にかかりましょう
死ぬまでのことはないが‥‥
結核による死亡者は先ほども書いた通り年間2000人程度です。
程度というと怒られそうですが、糖尿病患者が予備軍を含めて2000万人にのぼると考えればマイナーな病気といってもいいとおもいます。
ですので結核が原因で死亡するといったことはあまり考えられません。
ただ、症状として微熱などの症状が長く続きますから単純にしんどいです。
それに、その間はさらに抵抗力が落ちていますから、今度はそれをきっかけにまた別の病気を併発してしまうかもしれないため、かかること自体が他の感染症のリスクを上げてしまうという連鎖を起こしてしまいます。
そのため、用心に越したことはありません。
予防策は風邪とおなじで、うがいをしっかり行い、喉や鼻を清潔に保つこと、感染するものですから、せき込んでいる人には出来るだけ近づかないといったことを意識しておきましょう。
感染しても100%発症するものではなく、予防接種をしている人もたくさんいると思いますが、それでも絶対ではありません。
生活の質を下げないためにも結核などの感染症の予防、そしてなにより血糖コントロールを行い抵抗力が落ちないようにするのがとても重要です。
まとめ
糖尿病の感染症も本当に様々です。
血糖コントロールの不良によって起こる血液の循環不良、神経の圧迫、高血球の機能不全などで本当に普通では考えられないようなことばかりが起きてしまいます。
結核は発症する可能性がとても低いとは思いますが、重症化や抵抗力のさらなる低下を考えればならないに越したことはありません。
出来るだけ健康に長生きしたいものです。
皆さんが健康でありますように。
本日もご覧いただきありがとうございました。