こんにちは。
今日はタバコを吸うと糖尿病が加速する、というお話です。
肺がんや脳卒中のリスクもあるといわれるタバコですが、糖尿病にはどのように関連してくるのでしょうか。
早速見ていきましょう
なかなか減らない喫煙者
昔からタバコには色々な問題がつきものです。
- ポイ捨てによるごみ問題
- 本人が吸っていなくても他の人の吐き出した煙による副流煙の健康リスク
- たばこ税の増税などによる一箱あたりのコストの問題
- というか煙が臭い(笑)
などなど、様々な理由でタバコは世間の目から厳しい目にさらされ、
タバコを吸えるスペースも少なくなってい徐々に利用者が減り、
筆者である私の周りにも0とはいいませんが、あまりタバコを吸う人は見かけていません。
ただ、昔からあった紙のたばこを吸う人は減っては来ていますが、電子たばこの普及などによりまだまだ喫煙者の数は0に近づいてくれません。
厚生労働省によると2018年の喫煙者数は
- 成人男性は27.8%
- 成人女性は8.7%
- 男女平均で17.9%
となっているようで、まだまだ約1400万人の喫煙者がいるという計算になるようです。
男性は4人に1人とピーク時の昭和41年の83.8%と比べるとかなり減少していますが、それでもまだ多いといわれています。
性別・年代別喫煙率の推移
私の父もよく吸っていましたが、これほどに多いとは少し意外でしたね。
昔は電車の中でもどこでもタバコを吸える環境にありましたから当然といえば当然だったのかもしれません。
ただ、この1400万人の人たちは非喫煙者の人たちよりも格段に糖尿病になるリスクが高いのです。
では、タバコを吸うことによって糖尿病のどのようなリスクと関連があるというのでしょうか。
タバコを吸うことによる糖尿病リスクの増加
では、喫煙による糖尿病との関連性をご説明します。
喫煙による最大のリスクは皆さんが一度は耳にしたことがあるある物質が関係してきます。
そう、ニコチンです。
ニコチンの糖尿病リスク
ニコチンがもたらす糖尿病リスクには以下のようなものがあります
- 血管収縮による血管障害の促進
- アドレナリン、副腎皮質ホルモンなどを不用意に放出させる
- インスリンの働きを阻害する
ニコチンには他にも
- 麻薬に匹敵するほどの依存性
- ニコチンが分解されることによって生み出されるニトロソアミン類による発がん性リスク
などがありますが、糖尿病に関してはこの3点が非常に大事な要素になってきます。
血管収縮による血管障害の促進
ニコチンが体の中に入ることで強い血管収縮効果が表れます。
下の図はウサギにニコチンを摂取させてみたときの耳の血管の様子です。
左がニコチンを摂取する前、右が摂取後です。
引用元:亀田グループポータルサイト
http://www.kameda.com/patient/topic/nonsmoking/15/index.html
お分かりの通り、血管が収縮しすぎて写真に写らなくなっています。
これほどまでとはいかなくても、血管が収縮すると、血管内が詰まりやすくなり、糖を含む栄養素が体にいきわたりにくくなります。
それでも血液は止まったりしませんから、詰まりやすくなっている血管を無理やりに通ることになります。
そうなるとどうなるか、無理やりに狭い血管内を通ることによって血管が傷つき、もろくなってしまいます。
さらに行きわたり切らなかった栄養は血管の中にとどまることになるので、血糖値が意味もなく上がることになります。
そして、傷ついた血管は時間が経てば切り傷などと同じように修復されるはずですが、ニコチンはその修復までも邪魔してしまうのです。
つまり、
- 血管を狭くして血管を傷つけやすくし、体の栄養を行きわたらせにくくする
- 傷ついた血管を修復するのを阻害する
という2点コンボで糖尿病のリスクを高めているということになります。
アドレナリン、副腎皮質ホルモンなどを不用意に放出させる
ニコチンを摂取すると交感神経が活発になります。
交感神経とは
「闘争と逃走の神経」
などとも呼ばれるように、激しい活動を行っている時に活性化する自律神経の中の一つです。
この神経が活発化していると、アドレナリンや副腎皮質ホルモンなどの戦うことに必要な闘争ホルモンが分泌される状態になります。
ただ、実際はタバコを吸っているだけで命の危機にも陥っていませんし、だれかと闘わなくてはいけない状態になっているわけでもありません。
脳がだまされているわけです。
以前のストレスホルモンの記事で書いたように、アドレナリンは体に貯蓄されているグリコーゲンを無理やりに分解して血糖値を上げ、さらには血糖値を下げてくれるインスリンの働きも阻害する働きがあります。
このことを単純に一言で言い換えると、
タバコを吸うと血糖値が上がる
こう言い切ってしまってもいいくらいにニコチンはリスクが高いものだといえるのです。
インスリンの働きを阻害する
さて、最後ですがニコチンいにはインスリンの効き目が悪くなる(インスリンの働きを邪魔する作用がある)ということが研究によってわかっています。
アドレナリンにもインスリンによる糖の吸収を阻害する効果がありますが、
ニコチン自体にもインスリンの働きを阻害する効果があるのです。
つまり、インスリンを摂取することによって
- アドレナリンによるインスリンの働きの阻害
- ニコチンによるによるインスリンの働きの阻害
と、二重にインスリンの働きが邪魔されてしまうわけです。
これではインスリンが働きたくってもろくに働けやしません。
宅急便の配達ルートに違法駐車や冷蔵庫の不法投棄などで道に邪魔なものが散乱しているのと同じ状態です。
こんな状態が普通とはとても言えないですよね。
タバコを吸う人と吸わない人より1.44倍も糖尿病になりやすい
こちらも厚生労働省からの引用ですが、下の図を見ると非喫煙者に比べて喫煙者全体の糖尿病リスクが1.44倍となっているのがわかります。
一日に20本以上吸う人などは1.61倍も糖尿病リスクが上がります。
禁煙をされている方でも非喫煙者よりはリスクが高まりますが、
それでも喫煙者に比べるとリスクが低いことがわかるかと思います。
リスク順に並べると
- 一日20本以上吸う人(1.61)
- 一日20本未満の人(1.29)
- 禁煙した人(1.23)
- 非喫煙者(1.00)
このようになります。
さらにこのようにも書かれています。
わが国の7つの研究を含めた25の追跡調査を統合した研究によると、たばこを吸う人は、糖尿病に関係する他の要因(BMI・身体活動・飲酒など)を調整しても、2型糖尿病に1.4倍かかりやすいことが報告されています。また喫煙本数が多いほど糖尿病になりやすく、禁煙した人ではリスクの低下がみられています。
糖尿病になるまいと運動や飲酒、食事などに気を付けていても、タバコを吸っているかいないか、その違いだけでリスクがこれほど違うとなればやはりやめておいた方が得策だと言えます。
タバコを吸わないといけない理由が何かしら見つからないのであれば今からでもタバコを吸うのはやめるように努力してください。
糖尿病患者がタバコを吸うのは緩慢な自殺行為
最後に伝えておきたいのは、もし、今糖尿病か、糖尿病になりかけの人、もしくはリスクが指摘されているような人で、何かストレスなどの理由でタバコに手を出そうとしているのなら絶対にやめてください。
そんな状態でタバコを吸いだすのはほぼ自殺に等しい行為といえるからです。
しかも楽な自殺じゃありません。
徐々に真綿で首を絞めるつけれられるようなとても苦しくて長引く死に方をする自殺です。
なぜそのようなことが言えるかというと私の父がそうだったからです。
タバコを吸う、もともとは肉体労働者、ビールと惣菜ばかり、一人暮らし、このような糖尿病になりやすい条件をすべて揃えてしまった父ですが、自分で吸えなくなるまでタバコを吸っていましたし、施設に入ってからも私が見舞いに行くとよくジェスチャーでタバコをせがんでいました。(言葉が話せなくなっていたため)
父がどのような最期を遂げたのかは以前の記事でお伝えしました。
父のような人が増えないことを祈るばかりです。
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糖尿病で死んだ私の父の話
まとめ
いかがだったでしょうか。
なんだかんだと根強く社会に根を張っているタバコ。
先進7か国の中では2番目に喫煙率が高い日本ですが、世界的に見れば70位。
東ティモールなどは78%もあるようで、やはりこのあたりは時代は繰り返していくというところでしょうか。
いつかそういった国々でも健康リスクが指摘されるようになって、タバコを吸う人が0になってくれればと思います。
今日はタバコと糖尿病のリスクについて書いてみました。
皆さんの何かお役に立てれば幸いです。
本日もご覧いただきありがとうございました。