こんにちは。
糖質制限はよく批判の的にされがちですが、
「お! そうなんだ。この人の話も覚えておこうかな」
というような気持ちになったものはまずありません。
それどころか、適当な憶測に基づいた実験データすらどこにもないような
噂レベルの話を鵜呑みにしてそれをさも本当のことかのように言っているものがほとんどです。
その中でも、
ちょっとこれは流石にないんじゃない?
と思ったものがあったのでその記事の引用と反対意見も交えて紹介しようかと思います。
さっそく見ていきましょう。
2014年の週刊現代のある記事
さて、問題の記事というのはこの記事です。
ページを見ていただけるとわかりますが、これは2014年の2月17日に掲載された週刊現代の記事のようです。
さっそくですが、サブタイトルがあまりにひどい。
糖質制限で「寝たきり」が続出中
もう、最初からはあ!? です。
そんな話聞いたことがありません。
そして、そのサブタイトルを裏付けるかのように、さも糖質制限が悪いと言わんばかりの内容が以下のような内容です。
渡辺さんという70歳のご老体の話のようです
冒頭の渡辺さんも、ご飯や麺類などの主食をいっさい抜き、肉をメインとするおかずで腹を満たす食事を続けた。その結果、1年半で9kgのダイエットに成功したのだが、同時に大問題を抱え込んだ。渡辺さんが続ける。
「初めは調子が良かったんです。1ヵ月でお腹回りがスッキリしてきて、体重が5kg減りました。効果覿面だったことが嬉しくて、それから1年半、みっちり糖質制限をした結果、体重を85kgから76kgまで落とすことができました。
当然、体重が落ちれば身のこなしも軽くなるだろうと思っていました。ところが、次第に筋力が落ち、階段の上り下りが以前にまして苦しくなってしまったんです。そんなある日、庭の手入れをしていてトンと尻もちをついたら、それだけで尾てい骨が折れた。入院して検査をしたら、『骨密度が65%しかない。骨粗鬆症です。尾てい骨の圧迫骨折もそれが原因です』と診断されました」
3年前に人間ドックで測った骨密度は75%。ダイエットを経て、たった1年半で10%も落ちたことになる。
このまま長期入院すると寝たきりになるという主治医の判断で、渡辺さんは自宅療養に切り替えたが、いまだに足腰の筋力が戻らず、歩くことができないままだ。
今、このような糖質制限ダイエットによるトラブルが、あちこちで起き始めている。専門家の間でも、糖質制限ダイエットは危険だと警鐘を鳴らす声は大きくなる一方だ。
要約すると
- 70歳の老人が糖質制限で1年半で9キロ体重が落ちた
- だが、次第に筋力が落ちた
- ある日尻もちをついたら尾てい骨が折れた
- 検査の結果骨粗しょう症と言われた
- 3年前から比べると骨密度が10%も落ちていた
という話です。
なるほど、高齢者によくある話のようですね。
ですが、さすがメディアの専門家。
話しのすり替えがうまい。
3年前に人間ドックで測った骨密度は75%。ダイエットを経て、たった1年半で10%も落ちたことになる。
ちょっと待って。
3年前に計って、ダイエットを経て1年半で10%も落ちた?
え?
1年半前の骨密度どこにいったの?
なんでダイエットしたら骨密度が落ちたニュアンスになってるの?
おかしくないですかね・・・
そして最後のところ
このまま長期入院すると寝たきりになるという主治医の判断で、渡辺さんは自宅療養に切り替えたが、いまだに足腰の筋力が戻らず、歩くことができないままだ。
今、このような糖質制限ダイエットによるトラブルが、あちこちで起き始めている。専門家の間でも、糖質制限ダイエットは危険だと警鐘を鳴らす声は大きくなる一方だ。
渡辺さんが寝たきりになったことは残念ですが、
その後に
「このような糖質制限ダイエットによるトラブル」
とあります。
さらに
「え?」
です。
渡辺さんのケースに関しての事実は
- 糖質制限をしていた
- 1年半で9キロ減量した
- だんだん筋肉が落ちてきた
- 骨密度も3年間10%が落ちた
ということだけです。
この中で糖質制限と筋肉と骨密度が落ちたことについて何かしら医師からの助言や、渡辺さんの食事内容からみられる栄養摂取の不備などは一切触れられていません。
というか、体重が落ちたのですから運動しなければそりゃ筋力も落ちるでしょうし、ご高齢の方なのですから骨密度も落ちるでしょう?
他のダイエットだったら、筋力も骨密度も全く落ちずに体重だけが落ちるんですか?
そんな人間の体の摂理に真っ向から反抗するようなすごいダイエット方法あるんですか?
そんなダイエットあったら私がもうすでにやってます(笑)
話を戻しますが、このような内容では渡辺さんが行っていた糖質制限の内容もどのようなものかはわかりませんし、関連性も全くわかりません。
それなのに、このような書き方をするとさも糖質制限が全ての元凶のような印象を受けてしまいます。
批判をするのは結構ですが、内容が全く伴っていません。
批判をするのなら実際に根拠のあるデータを提示して、最低でも議論に持ち込める程度にはしてほしいですね。
専門家のインタビューも疑問ばかり
さて、その次です。
糖質制限は、なぜ危険なのか。糖尿病の世界的権威で、関西電力病院院長の清野裕医師が解説する。
「人間には一日170gの糖が必要とされています。そのうちの120~130gは脳で消費され、30gは全身に酸素などを運ぶ赤血球のエネルギー源として消費されます。糖質は、生命を維持するために欠かせない栄養素なのです。
糖質を制限してしまうと、代わりにタンパク質を構成しているアミノ酸を、肝臓が糖に作り変えるというシステムが働き始めます。タンパク質を糖に変えられるなら、肉を食べれば問題ないのではないかと思う方もいるでしょう。しかし、人体の維持に必要なエネルギーをタンパク質や脂質でまかなおうと思ったら、毎日大量の肉を食べなければなりません。数kgもの肉を毎日食べ続けることは現実的に不可能です。糖エネルギーが不足すると、それを補うために、体は自分の筋肉を分解してアミノ酸に変えていきます。結果、筋肉量がどんどん減っていってしまうのです」
さて、まず清野裕氏ですが、こちらの方はきちんとした医師の方で、実際に「インクレチン」の研究の第一人者で、長年糖尿病の治療にも携わって来ていた方です。
ですが、インタビューの内容を見ていただいた通り、糖尿病研究の第一人者ではありますが、残念ながら糖質制限の専門家ではなさそうです。
そう思うのはインタビューの中のこのくだり。
「糖質は、生命を維持するために欠かせない栄養素なのです」
「数kgもの肉を毎日食べ続ける」
この発言を見れば明らかです。
まず、糖質が生命維持に必要なのは確かですが、それは赤血球が働けるだけあればよく、それは糖新生で十分に賄えます。
江部医師のブログからの引用になりますが、
国際食事エネルギーコンサルテーショングループの報告では、
「炭水化物(この場合は糖質とほぼ同義)の理論的な最小必要量はゼロである」(*)
と明記されています。
すなわち、理論的には、ヒトは糖質摂取ゼロで生きていけることになります。
つまり、赤血球以外の各部位は糖質がなくても生きていけるという証明はすでになされています。
そして次にお肉数キロ発言、はっきり言って失笑ものです。
糖質制限をしている方ならお分かりかと思いますが、お肉を数キロも食べている人なんてどこにもいません。
数キロもお肉を食べていたら時間がものすごくかかりますし、顎も相当疲れます。それにいくらなんでもオーバーカロリーすぎます。
清野氏はお肉100グラムに対してどのくらいたんぱく質や脂質が含まれているのかきちんと理解をしたうえでこのような小学生がするような発言をしているのでしょうか。
ぜひ真意を問うてみたいものです。
確かに糖質を制限すると、糖新生が起き、糖新生にはアミノ酸が減量とされるのも確かです。
ですが、そのためには数キロのお肉を食べる必要なんてありません。
明らかに栄養学に対して知識がないか、週刊現代が何かしらインタビューを捏造もしくは誇張しているかのどちらかとしか考えられません。
どちらにしてもこのインタビューがあまりに無茶苦茶なのは確かです。
ふざけるな週刊現代
週刊現代の妄言はまだまだ続きます。
次の見出しはなんと
「認知症まで一直線」
です。
糖尿病に認知症になりえる要因はどこにあるのでしょうか?
少なくとも私は知りませんし、誰かが口にしているところを聞いたこともありません。
どなたか耳にしたことがある方がいればご一報ください。
そんな意味不明な週刊現代の根拠は以下のような内容です。
「実は糖質制限ダイエットには、はっきりした科学的根拠やガイドラインがないのです。だから、評判ばかりが独り歩きして、過剰なやり方が横行する。若い人や糖尿病患者が、医師の指導のもとで一定期間やるのはいいでしょう。しかし、65歳以上の高齢者は安易に手を出すべきではない。寝たきりになる危険性が非常に高いからです。実際、私の病院でも糖質制限で筋力が低下したと来院する高齢患者が増えています」(前出・清野医師)
「渡辺さんのケースも、糖質制限が原因でしょう。
また、要注意なのは女性。骨粗鬆症は圧倒的に女性に多く、60歳代で2人に1人、70歳以上で10人に7人が悩んでいます。ダイエットは女性のほうが熱心だからでしょうか。糖質制限を始めて骨粗鬆症を加速させてしまったという中高年女性の患者が、すでに何人か駆け込んできています。筋力が低下したり、骨粗鬆症になってしまった高齢者は、ほんのちょっとの病気や怪我で入院すると、あっという間に寝たきりになってしまいます」(愛し野内科クリニック院長で糖尿病専門医の岡本卓医師)
はい、引き続き清野医師のインタビューです。
清野医師大丈夫ですか?
「実際、私の病院でも糖質制限で筋力が低下したと来院する高齢患者が増えています」
はい、ですからそれ以外の要因を何か考えたり突き止めたりしなかったんでしょうか。
加齢については?
日頃の運動量の変化については?
落ちた体重と比較した以上に筋力も落ちていたのですか?
患者の申告はすべて鵜呑みにしてその内容はどれだけ吟味されたのですか?
何一つ提示された内容はなく、ただ清野医師の個人的な見解が述べられているだけです。
さらに次のインタビューでは、何の説明もなく全く違う医師のものに変わっています。
「糖質制限を始めて骨粗鬆症を加速させてしまったという中高年女性の患者が、すでに何人か駆け込んできています。筋力が低下したり、骨粗鬆症になってしまった高齢者は、ほんのちょっとの病気や怪我で入院すると、あっという間に寝たきりになってしまいます」
……言いたいことは清野医師へ言いたいことと全く同じです。
週刊現代がなにかしら上手に編集しているのかもしれませんが、医師である以上もう少し科学的に根拠のある内容の提示や発言をしてください。
それに気になるのが
”糖質制限を始めて骨粗鬆症を加速させてしまったという中高年女性の患者”
…この患者さんは栄養学の専門家か何かですか?
しかもすでに何人もって…
この患者さんたちが糖質制限と骨粗しょう症の関係をどこで、何をもって確信したのかがまったくわかりません。
医師は患者のいうことをしっかり聞くことも大事ですが、医師なのですからちゃんと対処してあげてください。
下手をすると診察もろくにせずに患者の思い込みをそのまま鵜呑みにして治療しているのかなと不安に思ってしまいます。
そして週刊現代の認知症へ一直線という言葉の根拠はこのろくでもないインタビューを根拠にしています。
つまり、
- 患者の申告を鵜呑みにした医者の発言を
- さも科学的根拠をもっている専門家が警鐘をならしているように見せている
適当にもほどがありませんか?
そのようなほとんど詐欺まがいの記事を掲載していると思うと本当に許せません。
そしてその後には糖尿病とはまったく関係のない認知症の恐ろしさをさも糖尿病が原因と言わんばかりに煽りにあおっています。
思うようにならない毎日にあなたは絶望し、もう誰とも話したくないと思い始める。そこまできたら、認知症までまっしぐら。やがて判断能力がなくなり、家族の顔も忘れ、孤独のうちに一生を終える—。
映画の予告か何かですか?
と思うほどにあおってますね。
そして次は
糖質制限は、他にも寝たきりに繋がる病気を誘発すると言われている。
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、65歳以上の高齢者が寝たきりになる直接の原因は、1位が脳卒中、2位が認知症、3位が衰弱・老衰で、4位が骨折となっている。
とあります。
何が出てくるのでしょうか。
コレストロールは高い方が長生き
次にあげられるのは脳卒中の危険性についてです。
ちょっとこの書き方はやっぱりないなと思います…
実は、寝たきりの原因1位の脳卒中も、糖質制限ダイエットと深い関わりがあるということが、最新の医療調査で明らかになった。実例を見てみよう。
荻原貞雄さん(69歳・仮名)は、現在、半身不随で療養型病院に入院している。そこに至った原因が糖質制限によるものだったのではないかと語るのは、荻原さんと長年の付き合いがあるかかりつけ医だ。
まず、最新の医療調査の結果で明らかになったと言っておきながらその内容はどこの誰かもわからないどこかの患者のかかりつけ医の話。
最新の医療調査の結果はどこ調査機関のなんて実験のデータですか?
記事のどこを探しても最新の医療調査とやらの中身は見当たりません。
そしてこう続きます。
「荻原さんは中肉中背で、特に肥満が気になるわけではありませんでした。一日5kmのジョギングが日課で、運動も十分やっていた。そのままの生活を続けていても健康に問題はなかったでしょう。
ところが'08年、ブームに乗って糖質制限ダイエットを始めたのです。荻原さんは半年で6kgも痩せ、かなり細い体つきになっていました。本人もその変化に非常に満足そうでした」
だが、ダイエット開始から4年目の夏、荻原さんは突然病魔に倒れた。脳卒中だった。
「頸動脈の血管エコー検査をしたところ、ひどい高脂血症が判明。血管の壁が1・8㎜の厚さになっている部分もあった。重度の動脈硬化が引き起こした脳卒中だったのです」
週刊現代の言い方だとこの患者さんは糖質制限で動脈硬化になってしまったようです。
その結果を持ってかかりつけ医さんはこう続けます
「一般的に、糖質制限をするとカロリーを補うために脂質やタンパク質を大量に摂るようになります。すると、血管に悪玉コレステロールが溜まっていく。その結果、血管が傷んだり老化が進んだりして、脳梗塞や心筋梗塞を起こす可能性がどんどん高まっていくんです。
特に肉類が大好物だった荻原さんにとって、炭水化物さえ抜けば、あとは何を飲み食いしてもいいという謳い文句は非常に魅力的だったのでしょう。トンカツや焼き肉、ステーキなど、がっつりした肉料理ばかり食べていたため、コレステロールが溜まりに溜まってしまったのです。
病院に担ぎ込まれた時点で半身は完全にマヒ。まさか気軽に始めたダイエットで半身マヒになるとは、思いもよらなかったでしょう。今となっては話すことも不自由で、後遺症を克服するメドは立っていません」
え、ちょちょちょちょ
ちょっと待って
ちょっと待って
ちょっと待って
ちょっと待って
とんかつ?
え、とんかつ食べてたの?
炭水化物さえ抜けばって、抜けてませんよ?
それに、炭水化物さえ抜けばあとは何を飲みくいしてもいいって、
炭水化物の定義ちゃんとわかってる?
お米やパンとかだけが炭水化物って思ってない?
大丈夫?
小麦粉も日本酒もビールもタピオカも炭水化物ですよ?
うーん、とても正しい知識を持っているように思えません。
というか、そもそも本当にこの人実在したんでしょうか?
とんかつ食べておいて、糖質制限で痩せましたよって。
週刊現代はこの患者さんを捏造したんじゃないでしょうか?
あまりに適当な内容ですし、痩せたのが本当だったとしても正しい糖質制限をしていたとはとても思えません。
それにかかりつけ医とやらもどこの人かもわかりませんから、証拠も何もありません。
週刊現代が書きたいように書いて煽るだけ煽って証拠も何も残らない卑怯極まりない手口です。
まあ、それは100歩譲って置いておくとして、糖質制限を行うとLDLコレストロールがたまり、動脈硬化の原因になると指摘されています。
さて、これも、江部医師のブログからの引用ですが、コレストロール値は高い方が長生きするという結果も出ています。
この『システマティック レビュー☆』の結論は
『コレステロール値が高い人の方が低い人よりも長生き』ということです。
「日本脂質栄養学会、コレステロールガイドライン策定委員会」監修の「長寿のためのコレステロールガイドライン2010年版」
(中日出版社)が2010年9月に出版されました。
2014年には、続「長寿のためのコレステロールガイドライン」が、刊行されました。
2007年改訂の日本動脈硬化学会のガイドラインでは、「LDLコレステロール140mg/dl未満」が目標数値です。
その後も2019年現在まで、
病院ではLDLコレステロール140mg/dl以上は、高LDLコレステロール血症と診断されます。
日本動脈硬化学会は、『 総コレステロールやLDLコレステロールは、低ければ低いほどいい』という見解です。
一方、「脂質栄養学会、コレステロールガイドライン策定委員会」監修のガイドラインでは、
「 総コレステロール値あるいはLDLコレステロール値が高いと、 日本では総死亡率が低下する。」
つまり、
脂質栄養学会は『総コレステロール値やLDLコレステロール値は、高い方が日本では長生き』としています。
2010年後半、日本脂質栄養学会と日本動脈硬化学会の間で、コレステロール論争が持ち上がったのは記憶に新しいところです。
真っ向から対立する見解なので、患者さんはもとより、現場の医師も戸惑っていると思いますが、
この『システマティック レビュー(☆)』 により、欧米でも日本でも
『コレステロール値が高い人の方が低い人よりも長生き』 という結論が導かれると思います。
脂質栄養学会のコレストロールガイドライン策定委員会は
総コレステロール値や悪玉とされるLDLコレストロール値が高い方が死亡率が低下すると言っています。
そして、その根拠はこちらになります。
実はLDLコレストロールは全てが悪玉と呼ばれるようなものではなく、
種類によって悪玉になりえるものが存在するのです。
LDLコレステロールは一般に悪玉、HDLコレステロールは善玉とされていますが、
これは正確ではありません。
標準の大きさのLDLコレステロールは、
コレステロールという細胞膜の原料を肝臓から末梢組織に運ぶ、
重要な役割を果たしていて、当然これは善玉です。
LDLコレステロールの中で、
小さくて比重の重いタイプが「小粒子LDLコレステロール」です。
この小粒子LDLコレステロールこそが、
真の悪玉の『酸化LDLコレステロール』に変換されやすい悪玉です。
HDLコレステロール(正常値40~98)が低値で、
中性脂肪(正常値50~149)が高値だと、
小粒子LDLコレステロールが多くなり危険です。
HDLコレステロールが60mg/dl以上で、
中性脂肪が80mg/dl以下なら
小粒子LDLコレステロールはほとんどありません。
HDLコレステロールが60mg/dl以上で、
中性脂肪が60mg/dl以下なら
小粒子LDLコレステロールは、皆無です。
従ってLDLコレステロールが高値でも、
それは標準の大きさの善玉です。
スーパー糖質制限食実践なら、
HDLコレステロールが60mg/dl以上で、
中性脂肪が60~80mg/dl以下になっていくと思いますので
LDLコレステロールは善玉ばかりです。
おわかりでしょうか?
LDLコレストロールが標準の大きさばかりであるなら、LDLコレストロールが悪玉になりうる可能性は低く、むしろ細胞膜の原料を運ぶという本来の役割を果たしてくれる人体にとってとても大事なものとして機能してくれるのです。
ですので、単に糖質制限をしたから脂質を多くとってしまい、それが原因で高脂血症及び動脈硬化に至った、というのはかなり短絡的であり、何かしらの長期的なエビデンスも用意されていない無根拠な批判なのです。
ましてこの記事ではそれを言っている医師の所属や氏名なども非公開のため、このインタビュー自体が本当に医師のものから得たものか、あるいはこの医師が実在する人物なのかすら不明な極めてあいまいな根拠に基づく批判と言わざるを得ません。
これを記事にして恥ずかしくないのかというレベルです。
そして記事は終わりを迎えます。
最後まで適当な煽り記事
最後も糖質制限をしていて脳梗塞になったという女性の話が体験談だけ乗せられており、その後にこう続きます。
命の危険すら指摘され始めた糖質制限ダイエット。だが、「痩せる」という効果があることは否めない。「身体にやさしい糖質制限」という都合のいいダイエット法はないのか。食物学学術博士の佐藤秀美氏が解説する。
「高齢でも、体型がどうしても気になる、という人はたくさんいると思います。そういった人は、甘い菓子などの炭水化物の間食を辞めるだけで、大きな効果が得られるはずです。
高齢者にとって、タンパク質は何よりも重要で貴重な栄養素。糖質制限のやりすぎで、不足する糖を補うためにタンパク質を消費することは、絶対に避けるべきなのです」
勝手に命の危険性を指摘されてしまった糖質制限…
まず、高齢者にとってというよりどんな人にもタンパク質はとても大事ですよ、ええ。
そてに不足する糖を補うためにタンパク質を消費するとあります。
まあ、そうなのですがちょっと待ってください。
糖質制限はタンパク質の摂取をすることを強く推奨していますよ?
というかたんぱく質を摂らないでいいダイエットなんてこの世の中に存在しません。
たんぱく質はあらゆる体の部品の減量になる糖質なんかよりももっと大事な体の原材料です。
なぜ、糖質制限をするとタンパク質不足に陥るという結論にいたるのでしょうか?
この書き方だと糖質制限をする人はタンパク質も摂っていない、あるいは糖質制限中はタンパク質を摂っていけない、そんな風に聞こえます。
はっきり言って知識不足も甚だしいです。
基本中の基本ですが、糖質制限のメカニズムをおさらいしておきましょう。
まず、糖質制限をしていれば体から糖が不足し、やがて肝臓に貯蔵されているグリコーゲンも尽きてしまいます。
そうなるとケトン体にエネルギーのスイッチが切り替わり、それは脂質を主な原料とします。
この状態をケトーシス状態と呼びます。
ケトン体は赤血球以外のすべての部位のエネルギー源として活用されるため、ケトーシス状態においては糖質は外部から摂取しなくても活動が出来るようになるのです。
赤血球のエネルギー源は糖新生によって賄われます。
さてその際、糖質だけでなく脂質も不足していた場合、確かに筋肉も分解の対象となり、その筋肉の分解を防ぐためにタンパク質を十二分に摂る必要があります。
そうでない場合、一般人であればタンパク質は体重×1グラムあれば十分で、それは通常カロリー制限のような質素な食事をしなければ十分に事足ります。
以前に書いたように食事が不規則や、朝寝起きのタイミングだと食欲がわかない、食事の時間が取れないという人はプロテインをお勧めしますが、通常糖質制限をしていて脂質、タンパク質ともに不足することなんてありえません。
それに糖質制限をするときは脂質をしっかり摂るので、筋肉を分解してそれを補わなければいけない、なんて段階まではまずもっていきません。
仮にそんな状態まで言ってる人は糖質制限うんぬんよりも何も食べるものがないような飢餓状態と言えるほどに根本的なエネルギー不足に陥っていますので、糖質制限をしているか他のダイエットをしているかは別としてやり方がまずすぎます。
すぐにそのダイエットをやめて専門家に相談してください。
そこまでひどい状態の方の場合、糖質制限しているかどうかとかは別問題です。
そして記事は終焉を迎えます。
「高齢者は消化吸収能力が落ちているため、男子高校生より体重1kgにつき必要な1日のタンパク質の量が多い。そうでないと、体が維持できないからです。そんな高齢者が糖質制限をすれば、内臓組織の原料となるタンパク質が不足し、体はどんどん老化します。だから原則的に、糖質を減らしてはいけない。やるとしても、おやつなどの間食を抜くだけにする。高齢になったら、糖質とタンパク質、両方のバランスをよく考えて食事をすることが望ましいのです。
大事なのは、ダイエットは何のためにするのか、ということ。見た目だけが少し良くなったとしても、肝心の健康を損なったのでは何の意味もありません。ぜひこのことを念頭に置き、自分の身を守っていただきたいと思います」(佐藤氏)
最後まで糖質制限をするとタンパク質が不足する、筋肉が落ちる、という結論で終始します。
いや、だから糖質制限したら逆にタンパク質の量も増えるし、体が老けるなんてこともないからね。
というか下手に糖質摂りすぎることで「糖化」が起きてしまって、老化が進んじゃうことはすでに証明されてますから・・・
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まとめ
いかがだったでしょうか。
どこを取っても糖質制限を批判するにあたっての科学的な根拠や
具体的な実験データの開示は一つもありませんでした。
あったのは憶測とおそらく医師のインタビューを都合よく切り貼りした印象操作の結果だけ。
もし、編集なしでインタビューに応じた内容をそのまま載せたのだとしたらこの医師の方々ももう少し糖質制限についてきちんと知っておいてもらいたいものです。
これを読まれた方の中には
「所詮、週刊誌の一記事じゃん・・・そんなに真面目に考えなくても・・・」
と思われるかもしれませんが、他の健康サイトなどをみても同じようなことが
よく書かれています。
この記事はその特徴をよく理解してもらえるかなと思って取り上げたのであって
他の糖質制限を批判している記事も同じような内容ばかりです。
それに週刊誌しか読まない人からすればその媒体に書かれていることがすべてになるので、間違った知識を適当な取材でまき散らしていることに何の変りもありません。
週刊誌の記者やデスクがプライドをもって仕事をしているかどうかは知りませんが、メディアである以上責任は果たしてもらいたいと思います。
表現の自由を振りかざしてなんでも言えばいいというわけではありません。
皆さんが糖質制限についての知識を蓄えるときは江部医師や山田悟医師などの専門的な知識を豊富に蓄えている方々の著書などを読むようにしましょう。
どうか正しい糖質制限の知識が世間に認知されることを祈っています。
本日もご覧いただきありがとうございました。