こんにちは。
あなたに教えたいミネラルの基礎知識、今日は鉄分です。
鉄分とは? 役割は?
鉄分はミネラルの中でも微量ミネラル9種の1つで、人体にはおよそ3ℊ程度含まれているといわれています。
鉄分には3種類あり、
- ヘム鉄
- 非ヘム鉄
- キレート鉄
というものがあります。
動物性食品から摂れるものをヘム鉄、植物性食品から摂れるものを非ヘム鉄と言います。
ヘム鉄、非ヘム鉄のヘムって何?
となるかもしれませんが、ヘムとは血液中の赤血球に含まれるヘモグロビン(血色素)のグロビン(蛋白質)と結合している赤い色素の鉄の化合物のことで、動物の血液に由来する鉄です。
ヘム + グロビン = ヘモグロビン
ということですね。
ですから鉄を補給する目的で食物を選ぷならば動物性のものを食べたほうが効率が良いということになります。
ヘム鉄と非ヘム鉄はそれぞれ吸収率が異なり、ヘム鉄は平均しておよそ25%、非ヘム鉄は5%前後とおよそ5~6倍ほど吸収率に差が出るため、鉄分をしっかり摂りたい場合はレバーなどの動物性食品をとることをお勧めします。
また、3種類目のキレート鉄は鉄分をキレート作用という安定的な状態にした鉄分で、サプリメントから摂取することがほとんどです。
キレート鉄のサプリメントは吸収率がおよそ90%ほどと非常に高く、慢性的な鉄分不足になっている方、特に女性などはキレート鉄での鉄分補給をお勧めします。
鉄分の役割
鉄分の役割はとてもシンプルで赤血球のヘモグロビンの成分となります。
え、それだけ? となるかもしれませんが、鉄分が不足すると赤血球が作れなくなりますから、全身に酸素が運べなくなるため貧血や頭痛、疲労感などが発生します。
鉄分の約70%は血液中の赤血球をつくっているヘモグロビンの成分になっていて、約25%は肝臓などに貯蔵されています。
これを機能鉄と貯蔵鉄と言い、この貯蔵鉄が少ないため、日本人を含め世界的にみても鉄分はもっとも不足しているミネラルとも言われます。
鉄分の必要量、鉄分が豊富な食材
一日に必要な鉄分量はおよそ7ℊ前後、女性の場合は月経時には10ℊ以上とるのが望ましいとされています。
性別 | 男性 | 女性 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 | 月経なし | 月経あり | 目安量 | 耐容上限量 | ||
推定平均必要量 | 推奨量 | 推定平均必要量 | 推奨量 | |||||||
0~5(月) | - | - | 0.5 | - | - | - | - | - | 0.5 | - |
6~11(月) | 3.5 | 5.0 | - | - | 3.5 | 4.5 | - | - | - | - |
1~2(歳) | 3.0 | 4.5 | - | 25 | 3.0 | 4.5 | - | - | - | 20 |
3~5(歳) | 4.0 | 5.5 | - | 25 | 3.5 | 5.0 | - | - | - | 25 |
6~7(歳) | 4.5 | 6.5 | - | 30 | 4.5 | 6.5 | - | - | - | 30 |
8~9(歳) | 6.0 | 8.0 | - | 35 | 6.0 | 8.5 | - | - | - | 35 |
10~11(歳) | 7.0 | 10.0 | - | 35 | 7.0 | 10.0 | 10.0 | 14.0 | - | 35 |
12~14(歳) | 8.5 | 11.5 | - | 50 | 7.0 | 10.0 | 10.0 | 14.0 | - | 50 |
15~17(歳) | 8.0 | 9.5 | - | 50 | 5.5 | 7.0 | 8.5 | 10.5 | - | 40 |
18~29(歳) | 6.0 | 7.0 | - | 50 | 5.0 | 6.0 | 8.5 | 10.5 | - | 40 |
30~49(歳) | 6.5 | 7.5 | - | 55 | 5.5 | 6.5 | 9.0 | 10.5 | - | 40 |
50~69(歳) | 6.0 | 7.5 | - | 50 | 5.5 | 6.5 | 9.0 | 10.5 | - | 40 |
70以上(歳) | 6.0 | 7.0 | - | 50 | 5.0 | 6.0 | - | - | - | 40 |
妊婦(付加量)初期 | +2.0 | +2.5 | - | - | - | - | ||||
妊婦(付加量)中期・後期 | +12.5 | +15.0 | - | - | - | - | ||||
授乳婦(付加量) | +2.0 | +2.5 | - | - | - | - |
平成27年の調査では1日の摂取量は平均7.6㎎でした。
そのため、男性は足りているといえますが、毎月生理が来る女性は鉄が足りていないといえます。
また、先ほども書いた通り、鉄を摂っていますよと言ってもどの形で鉄を摂っているかでも吸収率が大きく異なるため、女性はキレート鉄でのサプリメント補給がおすすめなのかなと思います。
鉄分が豊富な食材
鉄分を多く含む食材は以下の通り。
動物性食品
- マグロやカツオなどの赤身魚
- 牡蠣
- あさり
- レバー
- 卵
植物性食品
- ホウレンソウ
- 小松菜
- 海苔、ヒジキ
- 切り干し大根
年中を通していつでも食べられるものは、動物性で言えばレバーや卵、植物性のものはいつでも食べられますが特に鉄分が豊富なのはわかる
植物性食品を好んで食べる方に鉄分を摂る際のアドバイスをするとすれば、同時にたんぱく質やビタミンCを摂ること。
これらのものを一緒に摂ることで非ヘム鉄の吸収率は上がりますので、レバーが苦手な方などはビタミンCを同時に摂ることで吸収率を高めることが出来るでしょう。
逆に、食事の際に紅茶や緑茶を飲むことはお勧めしません。
紅茶や緑茶に多く含まれるタンニンは鉄分の吸収を抑えるため、吸収率が下がってしまいます。
また、ホウレンソウは鉄分が豊富ですがホウレンソウに含まれるシュウ酸も鉄分の吸収を抑制するため、鉄分を摂りたい場合はやはり海藻類がよいでしょう。
鉄分が不足した際の症状
鉄分が不足すると以下のようなことが起こります。
- 貧血
- からだが重い
- 動悸、息ぎれ
- 顔色が悪くなる
- 疲労感、疲れやすくなる
鉄分の役割は先ほども書いた通りとてもシンプルで、ヘモグロビンの材料になるとそれだけです。
ただ、ヘモグロビンがなければ人間は酸素不足に陥りますから、貧血や疲労感、動悸に息切れと普段の生活がとてもつらくなってしまうので鉄分補給は常に意識しておきたいものです。
鉄分を過剰摂取した際の症状
基本的に鉄分は過剰摂取しても問題ありません。
サプリメントでの過剰摂取も藤川医師曰く2000人の患者さんに処方した結果、現状では過剰症は見られないようです。
一応、鉄分の過剰症というものは存在しますが、遺伝性のものと二次性のものがあり、二次性のものは輸血による過剰症くらいしか考えられないということです。
ちなみに鉄過剰症(ヘモクロマトーシス)の症状は下記のようなものがあるということです。
- 肝臓:肝炎・肝硬変・肝臓がん
- 心臓:心筋症・不整脈・心不全
- 膵臓:糖尿病・膵臓がん
- 生殖腺:性機能不全(EDなど)
- 甲状腺:甲状腺機能低下症
- 下垂体:下垂体機能不全(不妊・成長障害)など
- 関節:関節の腫れや痛み
普段いつも通りに過ごしていて、サプリメントでの補給をするくらいなら全然問題はないでしょう。
ただ、ないとは思いますが、サプリメントの一気飲みなどはやめておいた方がいいですね(笑)
まとめ
それでは鉄分のまとめになります。
分類 | 微量ミネラル |
体の中の役割 |
|
一日の推奨量(成人) | 7㎎前後(女性の月経時は10ℊ前後) |
一日の上限量(成人) | なし |
不足した際の症状 |
|
過剰摂取にした際の症状 |
特になし。 ただし、輸血を行った場合は鉄過剰症になる可能性あり。
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備考 |
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微妙ミネラルながら、一番不足しがちといわれている鉄分。
隠れ鉄不足なんて言葉もあるくらいで、食事でとっているつもりでも吸収率にまでは意識が及ばず、結果的に鉄分不足になっていることもよくあるようです。
特に女性は毎月生理がくるため、血液が不足し、鉄分をたくさん摂らなければなりませんから疲れやすいなと感じた時は鉄分を摂ってみるのもいいかもしれません。
皆さんが健康でありますように。
本日もご覧いただきありがとうございました。