こんにちは。
あなたに教えたいミネラルの基礎知識、今日はヨウ素です。
ヨウ素とは? 役割は?
ヨウ素は微量ミネラルのひとつで、別名をヨウド(沃度)ともいいます。
ヨード卵光、という卵の商品を皆さん聞いたことがあるかもしれませんが、ヨード卵光のヨードはヨウ素も豊富に含んでいる卵ですよ、という意味の名前なのです。
ヨードは単体では基本的に存在することはなく、通常は塩の形になって存在していています。
そのため海水に多く含まれ、海藻類はその海水の中の要素を凝縮して含んでいますので、海藻類は特にヨウ素が豊富です。
ですが、一部の地域では土に含まれているヨウ素がすくなく、例えばニュージーランドでは1800年代後期から1900年代初頭までヨウ素欠乏症がごく普通にみられる病気の一つでした。
そのため、ヨウ素を人工的に添加した塩やパンをつくり、ヨウ素を摂取するようになりヨウ素欠乏症はいまではほとんどなくなっています。
ヨウ素の役割
ヨウ素の役割は1つ。
- 甲状腺ホルモンの材料
これのみになります。
とはいえ、ヨウ素は非常に大事なミネラル。
ヨウ素は2つの甲状腺機能ホルモンの
- サイロキシン(T4)
- トリヨードサイロニン(T3)
の産生に欠かせない必須成分になります。
甲状腺ホルモンは、
- たんぱく質の合成
- 酵素反応
- 細胞の活動
- 神経細胞の発達
- 末梢組織の成長
- エネルギー代謝
- 発育
に欠かせない物質で、ヨウ素が不足するということはこれらの機能が間接的に低下するということを意味します。
ですので、役割はたった1つと言えど欠かすことのできないミネラルになるのです。
ヨウ素の必要量、ヨウ素がが豊富な食品
一日に必要なヨウ素は25㎍(マイクログラム)
性別 | 男性 | 女性 | ||||||
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年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 |
0~5(月) | - | - | 2 | - | - | - | 2 | - |
6~11(月) | - | - | 10 | - | - | - | 10 | - |
1~2(歳) | - | - | - | - | - | - | - | - |
3~5(歳) | - | - | - | - | - | - | - | - |
6~7(歳) | - | - | - | - | - | - | - | - |
8~9(歳) | - | - | - | - | - | - | - | - |
10~11(歳) | - | - | - | - | - | - | - | - |
12~14(歳) | - | - | - | - | - | - | - | - |
15~17(歳) | - | - | - | - | - | - | - | - |
18~29(歳) | 20 | 25 | - | 550 | 20 | 20 | - | 450 |
30~49(歳) | 25 | 30 | - | 550 | 20 | 25 | - | 450 |
50~69(歳) | 20 | 25 | - | 550 | 20 | 25 | - | 450 |
70以上(歳) | 20 | 25 | - | 550 | 20 | 20 | - | 450 |
妊婦(付加量) | - | - | - | - | ||||
授乳婦(付加量) | +3 | +3 | - | - |
日本人は欧米諸国に比べて、慢性的な過剰摂取と言われています。
その平均値はおよそ1~3㎎(1000~3000㎍)と言われ、摂取量はおろか耐容上限も軽々と日常的に超えています。
そのため、日本人にとってヨウ素とは不足よりも過剰摂取に気を付けるべきミネラルと言えるでしょう。
その理由として海藻類に多量のヨウ素が含まれていることが関係していて、
例えば昆布であれば乾燥昆布たった1ℊで2㎎(2000㎍)ものヨウ素が含まれているとされており、TV番組などではコンビニで売っているおしゃぶり昆布を日常的に食べていた主婦が過剰症になったケースが紹介されていました。
ですので海藻類を好んで食べる人は特にヨウ素過剰に気をつけなければいけません。
ヨウ素が不足した際の症状
ヨウ素が不足すると
- 甲状腺腫(甲状腺にできる良性の腫瘍)
- 甲状腺機能低下症
などの甲状腺に異常が見られるようになります。
甲状腺腫になると良性のものとはいえど手術が必要になる場合があります。
また、甲状腺の機能低下では
- 元気がなくなる
- 寒がりになる
- むくみ
- 便秘
- 白髪
- 脱毛
- 嗄声(させい(声がしわがれてくる))
- 疲労感(疲れやすい)
などの症状が出てきます。
重度のヨウ素欠乏では、子どもに発育阻害と精神遅滞がおこり、聴覚や運動・認知機能への影響も出ます。
ヨウ素を過剰摂取した際の症状
ヨウ素を摂りすぎると次の症状の心配が出てきます。
- 甲状腺機能亢進症
- 甲状腺機能低下
甲状腺機能亢進とは、簡単に言えば甲状腺の働きすぎ。
通常よりも甲状腺ホルモンが出てしまうことにより、オーバーヒートしてしまっているようなイメージを持っていただければ結構です。
甲状腺機能亢進で多い症状は、
- 甲状腺が腫れる
- 頻脈(脈が速くなる)
- 手の指が震える
- 多汗症(汗をかきやすくなる)
- たくさん食べるのにやせる
- イライラする
- 疲れやすい、
- ときどき手足の力が入らなくなる(周期性四肢麻痺)
など、体の機能が活発になりすぎて空回りしているような症状があらわれます。
また、とても有名な症状に眼球が突び出したようになる眼球突出という症状が現れることもあり、小説クリムゾンの迷宮などでも登場したりもしますが、これはかなりまれな症状で、実際にはあまりみられることはほとんどありません。
もう一つ面白いことに、ヨウ素は過剰症になっても甲状腺機能が低下し、不足している状態と同じ症状が現れます。
そのため、見分けがつきにくいのですが、基本的には過剰症になっていると考えておけばよいでしょう。
過剰症を気をつける人は?
というと日本人全員、と言う答えがかなり適切かもしれません。
先程もお伝えした通り、日本人は日常的に耐用上限を大幅に超えるヨウ素をとっています。
さらにはおしゃぶり昆布や酢昆布、とろろ昆布など、海藻類を使った食品も多数存在します。
海の国の民であり、魚介や海藻類を摂ることが当たり前になっていますので、海藻類をよく食べることもまた当たり前になっています。
そのため海藻類を多く摂ることに抵抗がなく、基本的には健康にもよいため結構な割合で食べすぎているのかなとも思います。
ただ、一つ不思議なことに、これほどに多くのヨウ素を摂ってるのにも関わらずヨウ素過剰による健康被害の報告はそれほど多くはないのです。
ごくごく勝手な私見になりますが、もしかしたら私たち日本人は海苔を分解できる細菌を腸で飼っているように、白人や黒人の人たちとは少し違って、ヨウ素に対してなんらかの耐性があるのかもしれませんね。
まとめ
それではヨウ素のまとめになります。
分類 | 水溶性ビタミン |
体の中の役割 |
|
一日の推奨量(成人) | 50㎍(マイクログラム) |
一日の上限量(成人) | なし |
不足した際の症状 |
|
過剰摂取にした際の症状 |
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備考 |
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ヨウ素は日本人にとってある意味1番馴染み深いミネラルかも知れません。
海藻類を摂る = ヨウ素をたくさん摂る
ですからね。
ですが、世の中うまくいかないもので、体にいい海藻類も摂りすぎるとヨウ素過剰になり、体によくないことが起こってしまいます。
私たち日本人、あるいは日本に住んでいる方の場合は摂りすぎかどうかを心配していた方が良さそうです。
皆さんが健康でありますように。
本日もご覧いただきありがとうございました。