こんにちは。
あなたに教えたいミネラルの基礎知識、今日は銅です。
銅とは? 役割は?
銅は人体の中ではごく少量存在する微量ミネラルとして含まれていて、私たち人間の体には約70~100mgの銅が含まれています。
含まれている部位は骨、骨格筋に約50%、肝臓中に約10%存在するほか、血液、脳などに存在しています。
銅はモリブデンと拮抗する作用があり、どちらかが不足、もしくは過剰になると、もう一方に逆の減少が起こることが知られています。
そのため、普段意識することはありませんが、銅とモリブデンはバランスよく取ることが推奨されています。
銅は2004年3月に厚生労働省によって「栄養機能食品」として表示ができる栄養成分のひとつに定められています。
銅の役割
銅の役割には以下のようなものがあります。
- 造血作用
- 活性酸素除去
- 骨の形成
- 神経伝達
- エネルギー産生
- 免疫力向上
- 新生児の発育
鉄分は赤血球のヘモグロビンを作るために必要なミネラルですが、铜は鉄をヘモグロビンに合成するために必要なミネラルです。
そのため鉄だけを十分に摂っていたとしても銅がなければ、鉄を合成することができず、赤血球はうまくつくれませんから、鉄分不足だけではなく、銅不足になっても結局のところは貧血になってしまいます。
また、エネルギー産生や神経伝達などの役割もありますが、知られていないのが新生児の発育にとても必要であるということ。
母乳には多くの銅が含まれていることが知られており、昔の日本では粉ミルクに銅が含まれておらず、新生児の銅欠乏症が多く見られていたといいます。
現在では粉ミルクにも銅が添加されているので、心配はいりません。
銅の必要量、銅が豊富な食材
銅の一日に必要な量は1.0㎎前後です。
性別 | 男性 | 女性 | ||||||
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年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 耐容上限量 |
0~5(月) | - | - | 0.3 | - | - | - | 0.3 | - |
6~11(月) | - | - | 0.3 | - | - | - | 0.3 | - |
1~2(歳) | 0.2 | 0.3 | - | - | 0.2 | 0.3 | - | - |
3~5(歳) | 0.3 | 0.4 | - | - | 0.3 | 0.4 | - | - |
6~7(歳) | 0.4 | 0.5 | - | - | 0.4 | 0.5 | - | - |
8~9(歳) | 0.4 | 0.6 | - | - | 0.4 | 0.5 | - | - |
10~11(歳) | 0.5 | 0.7 | - | - | 0.5 | 0.7 | - | - |
12~14(歳) | 0.7 | 0.8 | - | - | 0.6 | 0.8 | - | - |
15~17(歳) | 0.8 | 1.0 | - | - | 0.6 | 0.8 | - | - |
18~29(歳) | 0.7 | 0.9 | - | 10 | 0.6 | 0.8 | - | 10 |
30~49(歳) | 0.7 | 1.0 | - | 10 | 0.6 | 0.8 | - | 10 |
50~69(歳) | 0.7 | 0.9 | - | 10 | 0.6 | 0.8 | - | 10 |
70以上(歳) | 0.7 | 0.9 | - | 10 | 0.6 | 0.7 | - | 10 |
妊婦(付加量) | +0.1 | +0.1 | - | - | ||||
授乳婦(付加量) | +0.5 | +0.5 | - | - |
平成27年国民健康・栄養調査における銅の1日の平均摂取量は1.13㎎で普段の食生活でも十分に必要な量は摂れているとされています。
銅が豊富な食材は
動物性食品で言うと
- レバー
- 牡蠣
- いか
- たこ
など。
植物性食品で言うと
- ごま
- きな粉
- 納豆
- 海苔
など、豆類や海藻類で摂るとよいでしょう。
銅が不足した際の症状
銅は基本的に不足していることありません。
例外的なもので言えば、長期に経腸栄養での栄養管理がされている患者や、人工栄養の未熟児などでは、摂取量不足による欠乏症がみられることがあるとのこと。
一応症状を載せておくと
- 貧血
- 骨異常
- 毛髪異常
- 白血球減少
- 好中球減少
- 心血管系や神経系の異常
- 成長障害
などがあります。
また遺伝的な銅代謝異常であるメンケス病では、血液中や、脳や肝臓の銅が減少し、その結果、知能低下、発育遅延、中枢神経障害などの症状が現れます。
銅を過剰摂取した際の症状
過剰摂取に関しても銅は心配がいらないミネラルです。
こちらも例外的な事例はあり、
先天性の代謝障害以外に海外では銅製の食器や調理器具で酸性の食品を扱ったことによる中毒の報告がありますが、通常の食生活では心配はありません。ただし、サプリメントなどで誤って大量摂取した場合には、肝障害など健康を害するおそれがありますので注意が必要です。
過剰症は化学薬品の誤飲などによる特殊な急性中毒や、遺伝性のウイルソン病など以外にはほとんど起こりません。ウイルソン病は銅が胆汁中に分泌されず肝臓などに蓄積される遺伝病で、脳神経障害、重度の肝障害、関節障害などを起こします。また、酢などの酸性の食品を、銅鍋などに入れると、銅が溶け出し銅の過剰摂取を引き起こすことがありますので注意が必要です。
といったように、先天的に障害を抱えている場合や、銅鍋などの銅で出来た調理器具にお酢などの酸性が高いものを入れてしまって溶け出してしまうなどの特殊な状況の場合においては過剰摂取になりうることがあるということです。
過剰摂取では
- 肝障害
- 脳神経障害
- 関節障害
などの症状が指摘されています。
一日の銅の耐容上限は10㎎。
一般ではサプリメントによって急激な摂取をしない限りは起こらないでしょう。
まとめ
それでは銅のまとめになります。
分類 | 微量ミネラル |
体の中の役割 |
|
一日の推奨量(成人) | 1㎎(ミリグラム) |
一日の上限量(成人) | 10㎎(ミリグラム) |
不足した際の症状 |
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過剰摂取にした際の症状 |
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備考 |
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銅、モリブデン、鉄の3つはどれが不足しても貧血症状や、あるいは別のミネラルの過剰症をおこしてしまいますから、一つだけ多く摂るのではなく、バランスよく取ることが大事です。
特に鉄と銅、銅とモリブデンという組み合わせは非常に大事ですから、銅はその要と言えるでしょう。
とはいえ、銅とモリブデンは微量ミネラルですから、不足することは心配いりませんから鉄を中心に摂ることを意識したらいいかもしれませんね。
皆さんが健康でありますように。
本日もご覧いただきありがとうございました。
2019-12-23 10:12:52